1 名前:ごまカンパチ ★:2025/05/27(火) 23:23:14.30 ID:0mYTQpbz9.net ※略 本記事では「大麻とは何か」や「日本国内での大麻を取り巻く環境」について、文化社会学と犯罪社会学の観点から 大麻について調査・研究をする佛教大学准教授の山本奈生氏が解説。 ※略 ■大麻の「非罰化、非犯罪化、合法化」は「懲役刑」より妥当な取り組み? 筆者はこれまで、大麻規制という出来事を、政治・文化・経済のヘゲモニー(編注:覇権を巡る力関係のこと)が反映される場として論じてきた。 そして政策実践への価値評価としては、非罰化、非犯罪化、合法化などをユートピアとしてではなく、懲役刑よりは妥当な取り組みになりうると評価してきた。 ※略 厳罰と収監(アサイラムの確立)ではなく、教育と社会福祉こそが実践的な論点として妥当ではないかとするものである。 既に薬物依存者をアルコール依存などと同等に扱ってきたイタリアやポルトガルで、少なくともアメリカを超えるような ドラッグによる個人や社会へのハーム(編注:害)は観察されていない。 世界史的にいえば、最も使用者個人へのアサイラムを確立して駆り立ててきたアメリカこそが最大のドラッグ大国になり、ドラッグのハームに最も苦しんできたように思われる。 しかもそのハームは不均等で、社会関係資本や文化資本、そして厳然としてある経済的な格差に応じて、もたざる者に対してより厳しく作用してきた。 ※略 ■解決策が「複数形でありうるしかない」理由とは? 誤解がないように付記しておくと、筆者を含めて大麻所持への懲役刑に批判的な人々は、いつでも普遍的に 「合法化が解決である」「課税してコーヒーショップ(※略)を作ればいい」と一足飛びに主張しているわけではない。※略 既に非罰化や合法化がなされている地域でも、大麻は野放図に用いられているわけではなく、未成年者への譲渡や運転規制は厳しく実施されている。 むしろ、個人所持を摘発することによってマフィアの関与、10代の喫煙や運転、成分不明物品の流通やより有害性が高い「脱法製品」などが不可視化され、 社会的なハームが増大しがちであることはこれまで多くの社会が身をもって経験してきたことである。 比喩的にいえば禁酒法がもたらしたのはアルコールによるハームの低減ではなく粗悪なバスタブ・ジン(※略)であり、 新しい職業として「不法販売から利益を得るマフィア」と「これを摘発する新たな警察部門」の二者がコインの表裏のように出現したことと比較考察されるべき課題だろう。 厳罰が科されないなら、突如多くの人々が大麻を喫煙して何らかの混乱が生じるかもしれない、という懸念もあるだろう。 ※略 しかし厳罰が使用を反比例的に低減するかといえば、それも自明ではなく、 日本よりずっと強力な厳罰政策を実施してきたアメリカで大麻は広まり、現代日本でも広まりつつある。 そして、ハームリダクション政策(※略)や非罰化政策を実施した地域で突如喫煙者が増えたわけでもないし、 日本で非犯罪化されている700円の鎮咳剤やガスパン(※略)などの合法的なドラッグ乱用に誰もが手を出しているわけでもない。 それでは、市販薬乱用者を「公衆の敵」として逮捕すればこの薬剤に手を出す人が減ると仮定しても、個人や社会へのハームは減るだろうか。 筆者には逆のように思われる。 ■現在の日本の規制「長く続くと考えるのは現実的でない」 ただ一ついえるのは、懲役刑を自明の前提とすることから距離をとり、ひとまず死刑制度の執行を保留するように、 懲役刑ではなく法運用として不起訴を前提とすることや罰金刑を選択可能にすること、イギリスでのような「刑罰ではなく警告」の措置、 そして医療目的での合法化などを組み合わせながら、厳罰自体が逆説的なことに人々へのハームとして機能しうる状況を懐疑すべきだということである。 重要なことはケアと教育である。近年の喫煙経験の推定も、摘発者数もともに増加していて、今後大幅に下がる見込みは少ないだろう。 それは当然のことで、日本の学生が留学するような北米圏やオセアニアのキャンパス文化で、 大麻はもうただの嗜好品になりつつあり、欧州でもほぼ罰せられず珍しいものではない。 旅行先として人気のグアムでもハワイでも似た状況で、※略 ひと夏滞在するなら大麻関連の文化を見聞しないほうが難しいだろう。 ※略 この10年間、各国の大麻規制は急速に変化し、日本だけが今後も長く、半世紀前から固着した法制度を運用しつづけられると想定するのはあまり現実的ではない。 ※略 引用元:…