1 名前:煮卵 ★:2025/06/23(月) 12:41:34.73 ID:srgkK+qF9.net 空の安全を守る米国の航空管制塔で、システムの老朽化に伴うトラブルが続発している。米連邦航空局(FAA)は管制システム近代化の計画を表明し、「フロッピーディスクと紙の運航票はもうやめる」と断言した。 直近でトラブルに見舞われたのは、ニューヨークへの空の玄関口、ニューアーク・リバティ国際空港の管制塔だった。4月下旬から5月にかけて、管制システムの通信障害や画面のブラックアウトなどのトラブルが繰り返され、同空港を利用する便の欠航や遅延、行先変更が続出。対応を強いられた管制官がストレスのため次々に病欠してさらに欠航が増える悪循環に陥った。 管制システムの通信障害は5月にコロラド州のデンバー国際空港でも発生。1月には首都ワシントン近郊でアメリカン航空の旅客機と米軍のヘリコプターが衝突して乗客乗員全員が死亡する惨事が起きた。2023年1月にはパイロットへの情報伝達に使われるFAAのNOTAMシステムで重大な障害が発生し、全米で便の運航がストップした。 そうしたトラブルが起きるたびに指摘されてきたのが、システムの老朽化だった。米公共放送NPRによると、米国の管制塔ではフロッピーディスクや紙の運航票、さらには「Windows 95」搭載のPCが今も普通に使われており、「米国内の管制塔に足を踏み入れると、まるで20世紀にタイムスリップしたような錯覚に陥る」という。 航空管制システムの近代化を求める声は以前から噴出していた。FAAは23年の時点で、米国内の管制システムの3分の1以上について、時代遅れの機能やスペアパーツ不足などを理由に「持続不可能」と判定していた。 そんな状況を変えようと、管制システムの近代化を促す目的で「Modern Skies」という団体が結成された。さまざまな企業が参加しており、航空業界団体から大手航空機メーカー、管制官や操縦士、客室常務員の組合に至るまで、あらゆる関連団体や企業が名を連ねる。 同団体が制作したテレビCMは、まず1980年代のカセットプレーヤーや分厚いPCモニター、フロッピーディスクなどを登場させ、そこから時代を先送りする。「ところが40年たった今も、フロッピーディスクがいまだに私たちの管制塔の運営に使われているのです」というナレーションが流れ「The time for changes is NOW」(変化の時は今だ)とメッセージを掲げている。 管制システムのアップグレードを阻む課題 事態の深刻さに米政府もようやく動いた。FAAのクリス・ロシュロー長官代行は6月に開かれた米下院委員会の公聴会で、管制システム刷新の計画について説明。ショーン・ダフィー運輸長官も、数百億ドルの予算を投じて4年以内にこの計画を完了させると表明した。FAAは新システムの構築を担う業者には情報提供依頼書(RFO)を発行し、関係各社からのアイデアを募っている。 ただし管制システムはノンストップで稼働させ続ける必要があり、入れ替えは簡単にはできない。そうした事情から、これまでに獲得した予算はアップグレードよりも、主に現在のシステムを稼働させ続けるために使われてきたという。しかしどれだけ修理を行っても、老朽化したシステムはいずれ使用不可能になる。 アップグレードにあたってはセキュリティ対策の徹底も課題になる。もし管制システムがサイバー攻撃を受ければ甚大な影響が出る。これまでは航空機の動きを運航票で記録して、システム間のデータのやりとりにはフロッピーディスクを使っていたことから、不正侵入とは無縁だった。24年7月に米CrowdStrikeのシステム障害が世界を襲った際に、管制塔が影響を免れたのは古いシステムのおかげだったともいわれる。 それでも米運輸省は管制システム刷新の計画書の中で「こうしたシステムや設備、機器の多くは数十年前のもので、時代遅れになり、耐用年数を過ぎている。リスクはかつてないほど増大しており、近代化に10年以上かけるわけにはいかない。今すぐやらなければならない」と強調している。 [ITmedia NEWS] 6/23(月) 8:05配信 引用元:…