1: 七波羅探題 ★ xLsrA6DV9 2026-03-03 21:19:00 ネアンデルタール人の男性は、ホモ・サピエンスの女性に強く惹かれたのかもしれない。あるいは、ネアンデルタール人の男性は、ホモ・サピエンスの女性にとって非常に魅力的だったのかもしれない。これは2月26日付けで学術誌「サイエンス」に掲載された研究から導かれる解釈の1つだ。研究チームは、かつてネアンデルタール人とホモ・サピエンスが交雑したとき、その組み合わせは主にネアンデルタール人の男性とホモ・サピエンスの女性だったと発表した。 ネアンデルタール人は約4万年前に絶滅したが、科学者たちは以前から、私たちホモ・サピエンス(現生人類)の祖先の一部がネアンデルタール人と交雑していたことを知っている。今日でも多くの人(特に、アフリカ系以外の祖先を持つ人)のゲノムに、平均すると1~2%ネアンデルタール人のDNAの痕跡が残っている。 しかし、ネアンデルタール人のDNAは、私たちのゲノム全体に均一にあるわけではない。その割合が約4%と比較的高い人でも、ゲノム上(特にX染色体上)にはまったく存在していない領域がある。 ネアンデルタール人のDNAが存在しないこれらの領域は「ネアンデルタール砂漠(Neanderthal desert)」と呼ばれ、研究者たちを悩ませてきた。多くの研究者は、この「砂漠」は、長い歳月の間に自然選択によって排除されたと考えてきた。 しかし、今回の新しい研究は、このギャップが有害な遺伝子が少しずつ除去された結果ではなく、当時のネアンデルタール人とホモ・サピエンスの交雑パターンを反映していると主張している。 「『私たちホモ・サピエンスは、過去4万5000年間にわたってネアンデルタール人の祖先の痕跡を徐々に取り除いてきた』という以前からの仮説があります」と、論文の筆頭著者である米ペンシルベニア大学の進化遺伝学者のアレクサンダー・プラット氏は言う。「私はこの説には納得できません」 もっと良い説明があると考えていたプラット氏らは、ネアンデルタール人3体のゲノムを解析し、ネアンデルタール人の祖先を持たないアフリカ系集団のゲノムとも比較した。すると、ネアンデルタール人のX染色体に含まれるホモ・サピエンスのDNAは、XとY以外の常染色体に含まれるホモ・サピエンスのDNAよりも約60%多いことがわかった。 このアンバランスはネアンデルタール人の女性祖先の多くがホモ・サピエンスであった可能性を示していると研究チームは指摘する。 女性の性染色体はX染色体が2本で、男性の染色体はX染色体とY染色体が1本ずつだ。生殖の際、母親のX染色体のDNAは男女どちらの子にも伝わるのに対し、父親のX染色体のDNAは娘にしか伝わらない。つまり、X染色体のDNAは、父親よりも母親のもののほうが多く伝わる。 両種の交雑が、主にネアンデルタール人の男性とホモ・サピエンスの女性との間で起きていたなら、ホモ・サピエンスの遺伝子プールに入るネアンデルタール人のX染色体のDNAは比較的少ないことになる。これはまさに今日の科学者たちが見ている状況だと、研究チームは言う。 ネアンデルタール人とホモ・サピエンスがどのような組み合わせで交雑すると子孫のX染色体のホモ・サピエンスのDNAの割合が高くなるかを特定すべく、プラット氏のチームは数理モデルのシミュレーションを実施した。その結果、ネアンデルタール人男性がホモ・サピエンスの女性に対して選好を示す(好んで選ぶ)シナリオで、この結果になりやすいことが明らかになった。 「私たちが見ているパターンを再現するためには、モデル内の選好をこれ以上ないほど高くしなければなりませんでした」とプラット氏は語る。「私たちがここで目にしているのは、古典的ダーウィニズムの『適者生存』ではなく、非常に広範かつ一般的な性的な偏りの痕跡なのです」 今回の発見は交雑に至った社会的背景を明かすものではない。そのため、異種間交雑が主にネアンデルタール人の男性とホモ・サピエンスの女性との間で起きた理由は、科学者にとって謎のままということになるかもしれない。 しかしプラット氏らは、最も単純な答えとなり得るある仮説を持っている。それは、「ネアンデルタール人の男性とホモ・サピエンスの女性は、お互いに強い魅力を感じていたのかもしれない」というものだ。 研究チームは、配偶者の選り好み以外にも、例えば、ネアンデルタール人の女性の不足やホモ・サピエンスの女性の過剰などといった人口動態の不均衡の可能性も排除していない。 しかしプラット氏は、「純粋に人口統計学的なモデルは、やや説得力に欠けるように思われます」と言う。 ※以下出典先で ナショナル ジオグラフィック2026.03.03…