1: 煮卵 ★ GTakC7Vq9 2025-11-11 14:42:11 「ピッ」。ヒヨコのお尻をカメラにかざすと、わずか0・5秒でモニターに色が表示される。緑ならオス、赤ならメス。ヒヨコの雌雄を人工知能(AI)を活用して判別するシステムを、昨秋設立のスタートアップ「日本ルースト」(高松市)が開発した。 これまでは、専門技術を持つ鑑別師がヒヨコの肛門内側にある生殖突起の有無を見て判別してきたが、この役目をカメラとAIが担う。近年、鑑別師の減少が続いているだけに、国内養鶏業の振興につながる先端技術として注目を集めている。 ヒヨコの「肛門鑑別法」と呼ばれる手法は、約100年前に国内で実用化された。現在でも地鶏やブロイラーの親となる「種鶏」などの生産にとって、なくてはならない技術となっている。 ただ、要となる鑑別師は高齢化が進み、将来的な人材不足が懸念されている。公益社団法人「畜産技術協会」によると、ピークの1975年には450人だったのが、現在は140人。「高い技術を持った専門家が不足すれば、地鶏生産を含む養鶏業全体が大打撃を受ける」。そんな危機感から、中野裕介社長(50)は新たな雌雄判別法の開発に着手した。 日本ルーストの雌雄判別法は、生き物の微細な差異、特徴を捉える撮影技術が核となる。AIの精度を高める過程では、「大量の画像データを撮影する必要があり、緻密(ちみつ)でアナログな作業が欠かせなかった」と振り返る。 システムの実証実験は、2022年に始まった。国立研究開発法人「情報通信研究機構」(NICT)の委託により、熊本県地鶏ブランド「天草大王」の安定供給に向けた、同県農業研究センターや広島大学との共同プロジェクトだ。撮影システムの改良など、試行錯誤によって判別精度は96%超に。このほか、高知県畜産試験場と地鶏「土佐ジロー」の雌雄判別に取り組んでいる。 海外に目を移すと、人口14億人を超えるインドでは、比較的安価な鶏肉や鶏卵へのニーズが年々高まっているという。「AIによる地鶏の雌雄判別技術はどこでも活用できる。将来、必要とされる国で鶏の安定供給に貢献できれば」。中野社長は、世界に羽ばたく夢を追い続ける。 (高松総局 植村卓司) [読売新聞] 2025/11/11(火) 14:27…