「韓国はどちらの側に立つのか」というお馴染みの問いを前にして【特派員コラム】(ハンギョレ) 米中競争はもはや、韓国の経済と安保にとって変数ではなく定数だ。韓国経済は目の回る綱渡りをしなければならない立場だ。韓国の第1、第2の貿易相手国である中国と米国の経済覇権争いの中、韓国の輸出とサプライチェーンは不確実性にさらされている。安保の面では同盟国である米国との円満な関係の維持は必要不可欠だが、「引越しできない隣国」である中国を敵に回してはならない立場でもある。米中の軍事的な覇権争いの中では、「お前はどちらの側に立つのか」という問いに絶えず向き合うことになる。 つらく、不安にもかられるが、逆から見つめる必要がある。米中が韓国に何らかの立場や確信を要求してくるのと同じく、逆に韓国の選択が米中に及ぼす影響も小さくないということをだ。韓国の方向設定によっては、米中もサプライチェーンの再編、技術競争、東アジア地域の秩序に影響されうるということだ。韓国は半導体などの先端製品のグローバルサプライチェーンにおいて欠くことのできない要衝に位置しており、安保面でも東アジアの情勢と戦略の中心に立っている。したがって、米中の選択に「左右される」国ではなく、選択「する」国として位置づけられる機会も到来しうる。 しかし、チャンスは自らやって来ない。韓国外交には原則と目標、それを土台にした戦略的信頼が必要だ。大国にはさまれて、彼らとの関係を「管理」するだけでは不十分だ。それを最優先の目標にして突進しているうちに原則、目標、信頼を失うのが常だった。また、政権が交代する度に修正される、一貫性のない外交的原則と目標は、韓国の戦略的価値を自ら傷つけてきた。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権時代の米国と日本に偏った「価値観外交」が残した教訓だ。 (中略) 韓国で繰り広げられているスーパー外交ウィークは、韓国の戦略的価値を確認しうる決定的な瞬間だ。米中の首脳が立ったスポットライトの降り注ぐ舞台の裏で、韓国は舞台の提供者にとどまらず主演を演じられるのか。その外交的力量を自ら証明しなければならない。その時、韓国外交は「どちらの側に立つのか」というお馴染みの問いに閉じ込められてはならない。韓国はいかなる原則を追求し、どのような秩序を作っていくのか。主体的に問いを投げかけつつ設計図を描かなければならない。大国の力比べの残した正解のない問いの中から抜け出す道はそこにある。 (引用ここまで) えー、韓国左派による根本的な外交観に「韓国が選択権を持つことができる」って部分があるのですね。 アメリカに対して「韓国が選択肢を持っているのだ」的な言論を繰り広げることがあります。 で、その手段として「半導体があるじゃないか!」って言い出すのがなんというかパターンなんですけどね。 まあ……「半導体(メモリ)売らないぞ」って言い出したら確かにアメリカでもどこでも困るだろうな、とは思うのですよ。 でも、それ以上に困るのはサムスン電子とかSKハイニックスでしょうね。 日本政府の半導体材料輸出管理強化に対して、当時のムン政権における実質的な外交担当者であるキム・ヒョンジュン国家安保室第2次長が「日本にDRAM輸出規制をかけてやればすぐにパニックに陥るだろう」なんて話をしていたことがあります。 実際には日本が輸入したDRAMのうち、韓国製のシェアは20%くらいでどうにもならないってオチだったのですけどね。 どこかに売らないって輸出規制をかけるのであれば、そこへ売る予定だった分のDRAMなりNANDフラッシュが売れないわけで。 製品があまりまくって価格下落。 かごにDRAMとNANDフラッシュ詰めて、町ゆく紳士に「すいません、メモリ買ってください」、「SSDはいりませんか?」ってやらなくちゃいけなくなるのですよ。 レアアースのように他で調達できないもののであれば戦略物資として使えるでしょうけども。 この例ならサムスン電子とSKハイニックスの株価下落して、マイクロンとキオクシアの大勝利で終わり。 他にもムン・ジェイン政権下の駐米大使が「韓国は米中に選択を強いられる国ではなく、自ら選択ができる国になったのだ!」って語ったりしてましたね。 こうした「韓国が選択をするうのだ」って考えかたが、左派による基本的なものであることが分かってもらえるのではないでしょうか。 なお、その直後にVOAで「韓国は数十年前に選択(米韓同盟)を終えたはずだが?」ってコラムが掲載されてたりします。 たいへんだね、アメリカさんも。 といった感じで「韓国が主体を持ってできる外交」ってそんなないんですよ。 そもそも韓国がやってきたのは「安米経中」で二大国の陰に隠れて甘い蜜を吸うって戦略。 それ以外の国々とはろくに外交的つながりを持っていないのですから自主的も主体的もないのです。 次の楽韓note記事はこのあたりの話になる予定。 note.comで楽韓noteを開設しています。中味は楽韓Webを濃厚に仕立てた長編記事。最新の記事は「 誰も彼も「日韓協力」とは唱えるものの……具体的になにをすつるもり? 」となっています。 また、楽韓noteマガジンを発刊しました。月に6〜800円くらいになる有料記事が全部読めて月額500円。だいぶお得になってます。 Twitterで更新情報をお伝えしています。フォローはこちらから→Follow @rakukan_vortex…