全てのレス元スレ 2: ◆8dLnQgHb2qlg:2016/08/15(月) 12:02:12.41 :guVNrC/80 「流星群を見に行こう、ね……」 エンジン音に混じって、無線から呆れたような声が聞こえてきた。 「やっぱり不満か?」 「そうじゃないけど。というか、高速走ってこんなところまで来たら諦めがつくし」 こんなところ、という言葉に視線だけを辺りに巡らせると、見事に山しか見えない。 「まあまあ、縁ちゃん。つまらなかったらすぐに帰るから、ね?」 「すぐ、って距離でもないと思うんだけどなぁ……そもそも、なんでバイクで来てるの?」 ほとんどぼやくような口調の縁は、藍子の後ろに乗っている。 その後ろを走っている俺のバイクにはキャンプ用具が山積みだ。 「あの車はお店のだからね。場所が場所だから公共交通機関は使えないし?」 「いつもはそんなこと気にしないで使ってるくせに。主にお母さん」 「そんなことあったかなー……?」 「はぁ……お母さんもなにを考えてるんだか……」 娘に呆れられるのはどうなんだ。藍子からの返事はなく、少し気まずい沈黙が流れた。 「藍子、次の交差点右」 「あっ! はい」 ライトに看板が映り込む。 一応声をかけると、驚いた声が返ってきた。 たぶん落ち込んでて見逃してたな。 「天文台?」 「そうそう。ここが目的地だ」…