全てのレス元スレ 2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2019/08/28(水) 20:53:40.22 :saJLaFIp0 レッスンを終えて寮に帰ると、共用の談話室は何やら騒がしかった。 「あ、みくちゃんだー。おかえりー」 声をかけてきたのは人だかりの真ん中に居た美由紀ちゃん。 「ただいまにゃー」 中を覗くと大テーブルの上には大きな段ボールが乗っていて、周りには食べ物が広げられており、ちょっとしたパーティ状態だ。 「これね、お父さんがね、在庫が余ったからみんなで食べなさいってたくさん送ってきたの」 箱を覗くとダンボールいっぱいにお菓子が詰まっていた。 ラインナップは鮭とば、小魚スナック、いかの燻製と見事に魚のお菓子ばかりで思わず背筋を寒気が走った。 一瞬なにかのドッキリかと身構えたが、そういえば美由紀ちゃんの実家は水産品の加工場だったな、と思い出した。 「おいしいよ。みくちゃんも食べない?」 「いやぁ、みくは遠慮しておくにゃ……」 「あ、そっか、みくちゃんお魚ニガテだったもんね」 じゃあー、と美由紀ちゃんはダンボールを漁り始めた。 「これあげる!」 手渡されたのはたこの燻製と鮭とば。 「たこは食べられるでしょ?この間たこ焼きパーティしてたし」 「うん、けど……とばはにゃぁ」 「そっちは友達にでもあげて!とばたくさんあるから配っちゃわないと傷んじゃうし」 食べ物を理由に取られると弱い。断るつもりだったが、美由紀ちゃんのキラキラした笑顔に押されるように受け取ってしまった。 その日の夕食はカレーの予定だったのが魚の干物に変わっており、みくのお腹は満たされなかった。…