全てのレス元スレ 2: ◆stww/BS79E:2015/08/09(日) 00:11:34.95 :im4Oexc40 1、 本来なら楽しいはずの会話の時間…のはずなのに… プロデューサーさんが居る事務室へ少し憂鬱な気分で歩いています… 右手にはボイスレコーダー…あんまり明るくない話題を片手に携えて 愛しい人の元に近づいていく…この感覚は… 早く会いたい切なさとこれからの話題の陰鬱さで少し複雑な気分になってしまいます。 なんて思っていると、もう目の前にはあの人の居る扉の前にたどり着いてしまいました。 この時間だとノックしてもプロデューサーさんはいつも反応してくれないんですよね… まゆは、一息ついて呼吸を整え…音を立てないように入室して、足早に給湯室に向かいました。 音の気配からプロデューサーさんはまゆが入ったことに気が付いていないみたいです。 お湯を沸かしている時間はありませんから…冷蔵庫から今日のお昼に仕込んだアイスコーヒーを2つのカップに注いで… プロデューサーさんはブラック派だから…まゆ用のガムシロップだけトレーに乗せて… 「お疲れ様です。プロデューサーさん♪」 プロデューサーさんを少し驚かせるように声を掛けて、トレーをプロデューサーさんの机に置いきました。 最近は机の下だったりいろんな場所から他のアイドルたちの奇襲を受けているみたいで… 今回もあまり驚いてはくれませんでした。 以前は後ろから声を掛けたら資料が崩れそうなくらい驚いてくれたのに…少し複雑です。 まゆはアイスコーヒーを手渡して、プロデューサーさんからの依頼が終わったことを報告しました。 その言葉を聞いたプロデューサーさんはパソコンの作業画面を保存して…まゆに向き直りました。 「せっかく…プロデューサーさんと2人っきりなのに…他の女の子の話はしたくないです…」 その報告内容ばっかり気にするプロデューサーさんに少しだけ、ほんの少しだけ嫉妬してしまって… ついつい意地悪なことを言ってしまいます…。 「はぁ…プロデューサーさんと2人きりの世界なのに…」 意地悪ばっかり言っていたら…プロデューサーさんはまゆの頭を撫でてくれました。 ちょっと単純かもしれませんけど…この温もりで報告できる気がします♪ 話題の中心は少し前に小さなプロダクションを吸収して移籍してきた新人アイドルさん… 『早坂美玲』という子の現在と過去のこと… 「はっきり言ってしまうと…美玲ちゃんに必要なのは…『左目』です」 まゆは、まず結論だけを伝えてしまいました。 プロデューサーさんは…とても不思議そうな表情をして首を傾げています。 そうですよね…だって美玲ちゃんの左目はいつも眼帯で隠されているんですから… 「詳細…聞きますか?」 ボイスレコーダーを見せながらプロデューサーさんの答えを伺うと… 静かに縦に首を振ったので、まゆはレコーダーにイヤホンを刺し、片方をプロデューサーさんに差し出しました。 プロデューサーさんが左耳に、もう片方はまゆの右耳に装着して2人で会話を聞けるようにして… すぐ隣にプロデューサーさんが一緒に居て、同じ音が聞ける嬉しさが心に広がります。 じゃあ、本題に…これは1人の女の子がアイドルになるまでの物語を赤裸々にしている会話… まゆは…美玲ちゃんのことをどう思っていいのかまだ少し悩んでいます…。 それにしても…自分の声をプレイヤーで聞くのはあまりいいものじゃないです…歌声には少し慣れましたけど。 再生してすぐにプロデューサーさんが会話があまり頭に入ってこないみたいからって… まゆの考えで解説して欲しいと言われてしまいました。 結局、録音した会話は場面の把握だけで全部に解説を入れることになりました。…