人形が2体、かごと箱、それにビー玉がひとつ。短い人形劇を見せて、質問をひとつ。それで「相手は自分とは違うことを信じているかもしれない」と分かっているかどうかを確かめる。そんな心理学の課題が、海外掲示板で話題になりました。4歳ごろまでの子どもは間違えることが多いとされますが、コメント欄は「大人でも怪しい人、いるよね」という話でにぎわっていました。 ※注:「心の理論」は、他人にも自分とは別の知識や考え、思い込みがあると理解して、相手の行動を推し量る心のはたらきを指す心理学の用語です。 今日の知ってた? 🧸 「サリーとアン課題」は、他人が自分とは違う考えや思い込みを持ちうると理解しているか(心の理論)を調べる心理学の課題。1985年に、ロンドンの研究チーム(サイモン・バロン=コーエン、アラン・レスリー、ウタ・フリス)が論文で発表した。 🧺 登場するのは2体の人形。サリーはかごを、アンは箱を持っている。①サリーがビー玉を自分のかごに入れて、その場を離れる。②そのあいだに、アンがビー玉をかごから取り出して、自分の箱に移す。③サリーが戻ってくる。 ❓ ここで子どもに質問する。「サリーはビー玉を探すとき、どこを見るでしょう?」 ✅ 正解は「かご」。サリーは、ビー玉が移されたところを見ていないからだ。ビー玉がいま本当に入っているのは「箱」だが、それを知っているのは人形劇を見ていた自分であって、サリーではない。そこを分けて考えられるかどうかを見ている。 👶 この種の課題は、4歳ごろから正しく答えられる子が増えるとされている。それより幼い子は、ビー玉が実際にある「箱」と答えることが多い。 背景:「サリーとアン課題」とは 「心の理論」という言葉は、1978年に心理学者のプレマックとウッドラフが発表した論文「チンパンジーは心の理論を持つか?」で提案されました。相手が何を知っていて、何を信じているのかを推し量り、そこから相手の行動を予測する力のことです。 この力を幼い子どもでどう確かめるか。1983年、ウィマーとパーナーという2人の研究者が考え出したのが、いまで言う「誤信念課題」でした。マクシという男の子が戸棚にしまったチョコレートを、本人のいないあいだに母親が別の戸棚へ移します。戻ってきたマクシはどこを探すでしょう、と子どもに尋ねるものです。自分の知っていること(チョコレートは移された)と、マクシが信じていること(まだ元の戸棚にある)を分けて考えられるかどうかを見ています。 1985年、バロン=コーエンらはこのやり方をもとに、サリーとアンという2体の人形が登場する課題を作りました。論文はウィマーとパーナーの実験について、4歳の子どもが心の理論を十分に使えることをはっきり示したものだと紹介しています。実験では、問題の質問に加えて「ビー玉は本当はどこにある?」「ビー玉は最初どこにあった?」という確認の質問もしています。論文によると、参加した子どもは全員、この2つには正しく答えました。お話を忘れたわけでも、ビー玉の場所が分からなくなったわけでもありません。答えが分かれたのは、「サリーはどこを探すか」という質問だけでした。 もう少し詳しく 1985年の実験の結果。参加した子どもは61人です。定型発達の幼児27人(平均4歳5か月)のうち23人(85%)、ダウン症の子ども14人(平均10歳11か月)のうち12人(86%)が、2回行ったテストの両方で「サリーは最初の場所を探す」と正しく答えました。自閉症(現在の診断名では自閉スペクトラム症)の子ども20人(平均11歳11か月)では、正しく答えたのは4人(20%)で、16人(80%)はビー玉が実際にある場所を指しました。論文は、この4人についてさらに調べる価値があるとも書いています。 その後、解釈は見直されてきた。この結果は「自閉症の人には心の理論がない」という説明として広まりましたが、その後の研究で見直しが進んでいます。課題に正しく答える自閉症の子どもはどの研究にも一定数いること、言葉の発達が進んでいるほど正しく答えやすいことが報告されており、2012年には、すれ違いを片方の能力不足としてではなく、自閉症の人とそうでない人の「互いの分かりにくさ」として捉え直す「二重共感問題」という考え方も提唱されました。 人間以外ではどうか。2016年には、チンパンジー、ボノボ、オランウータンに映像を見せて視線を測った研究で、登場人物の思い違いを見越した場所に先に目を向ける傾向が報告されています。カラスの仲間のアメリカカケスでは、餌を隠すところを他の個体に見られていた場合に、あとで別の場所へ隠し直す行動が2001年に報告されました。隠し直したのは、自分も他の個体の餌を盗んだ経験のある鳥だけだったといいます。ただ、こうした行動を「相手の心を読んでいる」証拠と言えるかどうかについては、研究者の間で議論があります。 海外の反応 1. 海外の名無しさん 子どもの頃に自閉症の検査を受けたとき、まさにこの絵を見せられた気がする。8割がた間違いないと思う。記事に出てくる研究の、1年かそこら後のことだ。そして7割がた、自分は答えを間違えた。 2. 海外の名無しさん(>>1への返信) 臨床の仕事をしていて、自閉症の子(もう成人した)の親でもある立場から。答えを間違えたからといって、「他人の考えや動機を読み取れない」ことにはならないよ。あの研究の結果をそこまで広げて語るのは言いすぎだと思う。誰がどの情報を持っているのかを整理するのに時間がかかったり、身につくのが遅めだったりすることはある。でも、いくつもの事情が重なっていたり、感情が高ぶっていたりする場面でなければ、相手がどう感じていて、それがなぜなのかをちゃんと説明できる。友だちの話をよく聞ける人も、人を支える仕事に就いている人も大勢いるよ。 3. 海外の名無しさん(>>2への返信) 心理学の学位がいくつかあって、臨床の経験も少しあって、自閉症の診断も受けている身から。相手には相手の知識がある、ということはちゃんと分かってる。ただ、頭の中が口より5歩先に進んでいて、説明するのを忘れるだけなんだ。考えれば「相手はまだ知らない」と分かる。でもそのとき考えているのは、相手のことじゃなくて問題そのものなんだよ。 4. 海外の名無しさん 答えは「箱」でしょ。サリーはアンと今日が初対面ってわけじゃないんだから。 5. 海外の名無しさん(>>4への返信) アンが人のビー玉に手を出す子だってことを、サリーはとっくに知ってるんだよな。だから戻ってきたら、迷わずアンの箱を開ける。 6. 海外の名無しさん(>>5への返信) いやいや、まずは自分のかごを見ようよ。少し席を外しただけで「誰かに何かされた」と決めつけるのは早すぎる。疑う前に確認、これ大事。 7. 海外の名無しさん これの親戚に「Redditのゲーム板テスト」がある。何のゲームか一言も書かずにスクリーンショットだけ貼って、全員が知っている前提で話を始める人たちのこと。 8. 海外の名無しさん(>>7への返信) ゲームのタイトルを頭文字だけに略して、当然みんな分かるよねという顔で書く人たちもね。 9. 海外の名無しさん(>>8への返信) 「AC」と略されるのが本当に困る。アサシン クリードなのか、アーマード・コアなのか、エースコンバットなのか。二次創作の界隈はもっとすごくて、作品名も登場人物の組み合わせも、全部アルファベット数文字で書いてある。「分かる人には分かるよね😉」と添えてあるけど、分からないんだよ。 10. 海外の名無しさん 相手が知らないはずの内輪の用語を、説明なしで使う人を見ると「ああ、この力が弱いんだな」と思う。自分たちの間でしか通じない隠語を当然のように出されるのが、個人的にはいちばん地味にイラッとする。 11. 海外の名無しさん(>>10への返信) 通じないと分かっていて、わざと使う人も多いよ。そう言うと、自分が賢くて経験豊富に見える気がするから。個人的には、それも賢さとは逆のサインだと思ってるけど。 12. 海外の名無しさん これ、Redditのアカウントを作るときの必須試験にしたほうがいいと思う。 13. 海外の名無しさん(>>12への返信) そんなことをしたら、利用者の9割がいなくなってしまうよ。 14. 海外の名無しさん(>>13への返信) それで困ることって何かある? 広告収入が足りなくなって、サイトが閉鎖されるくらいか。……あれ、それも悪くない結末だな。 15. 海外の名無しさん カラスの仲間(カササギやワタリガラスなど)は、この課題に通れそうに見える。餌を隠すところを他の鳥に見られたと気づくと、あとでこっそり別の場所に隠し直すんだ。 16. 海外の名無しさん(>>15への返信) そう見えるのは確かだけど、別の説明もできるよ。「隠すときに近くに他の鳥がいたら、あとで場所を変える」という行動が進化の中で身についただけで、相手が何を知っているかまで理解しているとは限らない。理由は分からないまま、うまくいく手順だけをなぞっている可能性もある。 17. 海外の名無しさん(>>15への返信) 類人猿では、キングコングの着ぐるみを着た人が出てくる映像を見せて、視線を測った研究がある。チンパンジーもボノボもオランウータンも、相手の思い違いを見越した場所を見ていたらしい。カラスのほうも、カラスの着ぐるみを用意すればきっと証明できるな! 18. 海外の名無しさん 手話を教わった類人猿は、人間に質問をしたことが一度もない、という話を読んだことがある。相手が自分の知らないことを知っている、という発想を持っていないからだとか。 ※ よく引用される話だが、何を「質問」とみなすかを含め、根拠については研究者の間でも議論がある。 19. 海外の名無しさん(>>18への返信) 心の理論がないというより、それが「尋ねる」という行為にまで及んでいないだけ、という可能性は? 犬だって、骨を他の犬から隠せると分かっている。盗み食いのあと、何事もなかったように現場を取りつくろう犬も見たことがあるよ。そもそも飼育されているチンパンジーが研究者の好物を知ったところで、何の役に立つんだろう。 20. 海外の名無しさん 正直、大人でもこれができていない人はたくさんいると思う。「前に言ったよね?」と言われて、こっちは聞いた覚えが一度もないやつ。 21. 海外の名無しさん(>>20への返信) 大人のそれに近い現象には、「知識の呪い」という名前が付いているよ。有名な曲のリズムを指で叩いて、相手に曲名を当ててもらう実験がある。叩く側は「半分は当たるだろう」と予想したのに、実際に当たったのは2.5%だったそうだ。自分の頭の中ではメロディーが鳴っているから、相手にはコツコツという音しか届いていないことが想像できない。 22. 海外の名無しさん 幼い姪と電話で話していると、「ほら、これ見て!」と言って、描いた絵を見せてくれようとする。音声だけの通話だから、こっちには何も見えていない。でも本人には見えているから、こっちにも見えていると思っているんだろうね。この課題の話を読んで納得した。 23. 海外の名無しさん 自分は『ペーパーマリオRPG』で、これに似た失敗をした。プレイヤーはイベントの場面で、ケーキに毒が入っていると知らされる。でもマリオと仲間たちには、毒を疑う理由がひとつもない。だから「食べない」を選んだ自分は、神の視点でズルをして、物語をねじ曲げたことになるんだよな。 ※ 『ペーパーマリオRPG』は2004年に任天堂が発売したゲーム。英題は Paper Mario: The Thousand-Year Door。 24. 海外の名無しさん 小さい頃から複数の言語の中で育ったけど、当時は「言語が違う」という感覚そのものがなかった。話しかけられた言語で、そのまま返していただけ。たぶん、みんな全部分かるものだと思い込んでいたんだと思う。 25. 海外の名無しさん 4歳のとき、両親も間違えることがあるんだと気づいた。彼らは神ではなかった。箱の中に何が入っているのかを、彼らは知らなかったのだ。 まとめ 「サリーとアン課題」は、相手が自分とは違う思い込みを持ちうると理解しているかを、人形劇と質問ひとつで確かめる課題です。4歳ごろから正しく答えられる子が増えるとされています。コメント欄は、当事者や家族の声から、説明なしの略語や内輪の用語といった「大人のあるある」、カラスや類人猿の話にまで広がりました。相手が何を知らないのかを想像するのは、大人になっても案外むずかしいのかもしれません。 元ソース: 「心の理論」を調べる心理学の実験「サリーとアン課題」を知った。4歳未満の子どもは、隠した物の場所を自分が知っていれば他の人も当然知っていると考えるため、間違えることが多いという The post 「サリーはビー玉を探すとき、どこを見るでしょう?」人形劇と質問ひとつで“相手の思い込み”が分かるかを確かめる課題、4歳ごろまでは間違える子が多いらしい appeared first on みんな知ってた?【海外の反応】.…