「ゴッサム」と聞けば、多くの人は『バットマン』の舞台ゴッサム・シティを思い浮かべるだろう。英語圏ではニューヨークの別名としてもおなじみの言葉だ。ところがこの名前、元をたどるとイングランドの小さな村に行き着く。しかもその村は「村人がそろって愚か者だった」という言い伝えで知られる場所。もっとも、その愚かさにはちゃんと裏があったらしい。 今日の知ってた? 🏘️ 「ゴッサム(Gotham)」は、もともとイングランド中部ノッティンガムシャーにある村の名前。この村には、13世紀初めのジョン王の時代に、村人たちがわざと愚か者のふりをして王の一行を遠ざけた、という「ゴッサムの賢者たち」の言い伝えが残っている。1807年、作家ワシントン・アーヴィングが雑誌の中でニューヨークを皮肉ってこの名で呼び、それ以来「ゴッサム」はニューヨークの別名として定着した。 背景:「ゴッサムの賢者たち」とは ゴッサムは、ノッティンガム市の南にある実在の村だ。2021年の国勢調査での人口はおよそ1,600人。現地での発音は「ゴッサム」ではなく「ゴータム」に近く、地名は古い英語で「ヤギの住みか」を意味する言葉に由来するとされる。 この村に伝わるのが「ゴッサムの賢者たち(Wise Men of Gotham)」と呼ばれる言い伝えだ。13世紀初め、ジョン王がこの近辺を通ることになった(近くに狩猟用の館を建てるつもりだったともいう)。当時のイングランドでは、王が通った道は公道にしなければならなかったとされ、村人たちは自分たちの村に公道を通されるのを嫌った。そこで王の使者がやって来ると、村人たちはそろって正気を失ったふりをしてみせた。当時、狂気は人から人へうつるものと考えられていたこともあり、報告を受けた王は、この村を避けて別の場所を選んだ——という話である。 使者たちが引き上げたあと、村人たちは「ゴッサムを通り過ぎていく愚か者のほうが、ここに残る愚か者より多いと思うがね」とうそぶいたと伝えられている。「賢者たち」という呼び名は皮肉で、長く愚か者の代名詞として使われてきた。ただ話の中身を見れば、村を守るためにわざと愚か者を演じた、なかなかしたたかな人々でもある。 もう少し詳しく 使者が目にした「奇行」の数々。言い伝えによれば、使者たちが村で見たのは、池の水にウナギを沈めて溺れさせようとする者、古い茂みにとまったカッコウを垣根で囲って閉じ込めようとする者、チーズが自分でノッティンガムの市場まで売られに行くようにと、坂の上から転がす者……といった光景だった。こうした村人たちの笑い話は、16世紀には『Merrie Tales of the Mad Men of Gotham』(ゴッサムの狂人たちの愉快な話)という題の本にまとめられ、出版されている。 王を避けたかった理由は、話によって違う。「公道にされると、その道の維持費を村が負担しなければならなくなる」「狩猟用の館のために牧草地を取られ、王の一行をもてなす出費もかさむ」など、伝わる理由はいくつかある。いずれの版でも、王が来ること自体が村にとって大きな負担だった、という点は共通している。なお、これが実際にあった出来事なのかは確かめられておらず、あくまで言い伝えとして扱われている。 アーヴィングが持ち込んだ「ゴッサム」。この村の名前をニューヨークに結びつけたのが、『スリーピー・ホロウの伝説』で知られるニューヨーク生まれの作家ワシントン・アーヴィングだ。1807年、アーヴィングは兄のウィリアムらと出していた風刺雑誌『サルマガンディ』の中で、ニューヨークを「ゴッサム」と呼んだ。この雑誌はニューヨークの文化や政治を笑いのめすもので、この呼び名も、表向きは持ち上げるふりをしながら、うぬぼれた愚か者たちの街だと皮肉る使い方だった。ところがニューヨークの側はこの名前を受け入れ、住人を「ゴッサマイト」と呼ぶ言い方まで生まれた。ちなみにアーヴィングは、1809年に出した『ニューヨーク史』で、ニューヨークっ子を指すもう一つの呼び名「ニッカーボッカー」も広めている。NBAのニューヨーク・ニックスの名前は、これを縮めたものだ。 そしてバットマンの街へ。DCコミックスの『バットマン』に登場する架空の都市ゴッサム・シティの名前も、このニューヨークの別名が元になったとされる。本家のゴッサム村もこの縁を意識していて、2013年には、よじ登るバットマンの姿と村の言い伝えにちなんだ図柄をあしらったモニュメントが村に建てられたと伝えられている。 海外の反応 1. 海外の名無しさん 王様の一行に素通りしてもらうために、村人全員でバカのふりをした村ってことか。愚か者の村どころか、やってることは完全に知恵者の集団じゃないか。 2. 海外の名無しさん(>>1への返信) 英語版ウィキペディアに載っている話だとこう。ジョン王がこのあたりを通ることになったけど、当時のイングランドでは王が通った道は公道にしなければならず、村人たちはそれを嫌がった。王の使者が来ると、村じゅうでバカげた作業をしてみせて、王は狩猟用の館を別の場所に建てることにした。そして村人たちは「ゴッサムを通り過ぎていく愚か者のほうが、ここに残る愚か者より多いと思うがね」とうそぶいたんだとか。 3. 海外の名無しさん(>>2への返信) そもそも、なんで村に公道を通されるのがそんなに嫌だったんだろう? 道ができたほうが、人の行き来も商売も便利になりそうなものだけど。 4. 海外の名無しさん(>>3への返信) 公道そのものより、王様が来るとなると村の体裁を整えるのにお金がかかる、というのが大きかったみたい。道の穴をふさいで、その後もずっと手入れし続けないといけない。村人はそのお金を畑や自分の家に回したかったから、正気を失ったふりをしたわけ。当時、狂気は病気の一種で人にうつると思われていたから、みんな近寄らなかったんだ。村の近所に住んでるんだけど、現地の案内板にこういう説明が全部書いてあるよ。 5. 海外の名無しさん(>>4への返信) 「狂気は人にうつる」という考え方も、実際にうつる病気で様子がおかしくなった人を見た経験から、話が大きくなっていったのかもしれない。ウイルスによってはひどい高熱が出て、脳に障害が残ることもあるし。 6. 海外の名無しさん(>>3への返信) 上に貼られてるのはウィキペディアの抜粋だから、細かいところが抜けてる。話にはいくつも版があって、ジョン王が何をしに来るつもりだったのかもはっきりしないけど、狩猟用の館を建てに来た、とする版が多い。その土地は村や村人から取り上げられることになる。公道が嫌われた理由として見つかったのは、道の維持費を村が持たされるから、というのと、「迂回の権利」を心配したから、というもの。公道がぬかるみや倒木でふさがっていたら、通る人は道をそれて回り道をしてよくて、そのせいで畑の作物を踏み荒らしても不法侵入や損害の責任を問えなかったんだ。どの版でも、王が来ると村がお金の面で苦しくなる、という点は同じだね。 7. 海外の名無しさん(>>6への返信) 要するに、ほぼ税金の話なんだよな。「王様がこの道をお使いになりました。おめでとうございます、今日から正式な道です。維持費はそちら持ちでお願いします。次に王様がいつお越しになるかは未定です」って。そりゃ村ぐるみで全力のバカのふりもするわ。 8. 海外の名無しさん(>>3への返信) 大きな道が通ると、よそ者やよからぬ連中まで村に入りやすくなる、という考え方もあったと思う。街道には旅人を狙う盗賊が出るんだから、いっそ街道から離れていたほうが安全だ、ってね。今でも、高速道路を通されるのを嫌がる郊外の町は普通にあるし。 9. 海外の名無しさん(>>1への返信) スレ主だけど、それはあくまで「一部の資料では」という話なんだ。自分が貼ったニューヨーク公共図書館の記事でもその言い伝えに触れてはいるけど、本当にあった出来事なのかは確認されていない、と書いてある。 10. 海外の名無しさん 作戦としては面白すぎる。村じゅうの大人が真顔でウナギを溺れさせようとしてるんだろ? 自分が王様だったら、道を通すのはやめても、その村だけはわざわざ見物しに行くと思う。 11. 海外の名無しさん ゴッサム村は今もちゃんとあるよ。ノッティンガムの南のほうにある。ちなみに現地の発音は「ゴッサム」じゃなくて「ゴータム」だから、行くことがあったら気をつけて。 12. 海外の名無しさん(>>11への返信) いい所だよ。電線がちょっと低すぎるのだけは気に入らないけど、ノッティンガムシャーの南のあたりは全体に暮らし向きがよくて、南へ出る交通の便もいい。平らだけど気持ちのいい田園風景も広がってる。 13. 海外の名無しさん(>>12への返信) 「電線がちょっと低すぎる」っていう、その不満の具体的すぎるところが最高に好き。いったい何があったのか、そっちの話のほうが気になってきた。 14. 海外の名無しさん(>>11への返信) しかも、あのあたりを走る路線バスは、行き先表示に小さなコウモリのマークが出るんだよ。村のほうもバットマンとの縁をちゃっかり楽しんでる。 15. 海外の名無しさん ついでに言うと、ゴッサムという地名は「ヤギの住みか」とか「ヤギの村」みたいな意味らしい。英語の綴りだと goth(ゴス)と ham(ハム)に見えるけど、黒い口紅をつけてゴシック・ロックを聴いてる豚とはまったく関係ない。 16. 海外の名無しさん(>>15への返信) みんな「goth」の字面を見て、そのままゴシックな雰囲気で突っ走ったんだろうな。「ゴシック」のほうはゲルマン系のゴート族が語源だから、ゴッサムと似ているのは完全に偶然。ただ、バットマンではその似ている感じをわざと強調していると思う。 17. 海外の名無しさん うちの近くにあるよ。仕事でしょっちゅう車で通っていたけど、本当に小さな村で、パブが何軒かあるくらい。住人が愚か者かどうかについては、誰とも話したことがないのでノーコメントで。 18. 海外の名無しさん 自分もあの村はよく車で通る。村の名前が書かれた標識が、バットマンのファンにしょっちゅう盗まれているらしいよ。記念に持って帰りたくなる気持ちは、分からなくもないけど。 19. 海外の名無しさん ゴッサム村は、バットマン映画の撮影に使われたウォラトン・ホールからもそう遠くない。ウェイン邸のロケ地が本物のゴッサムのご近所だなんて、話がぐるっと一周してきれいにつながった感じがする。 20. 海外の名無しさん(>>19への返信) 細かいことを言うようだけど、ウォラトン・ホールが使われたのは、ノーラン版の3作目『ダークナイト ライジング』だけ。ブルース・ウェインの屋敷、ウェイン邸の外観としてね。 21. 海外の名無しさん アメリカでは、ゴッサムは本当によく使われるニューヨークのあだ名だよ。映画のゴッサム・シティはいろんな街の寄せ集めで、ノーランの映画ではシカゴやピッツバーグも撮影に使われたけど、現実の世界でゴッサムと言えばまずニューヨーク。「ゴッサミスト」っていうニューヨークのニュースサイトまであるくらいだ。 22. 海外の名無しさん(>>21への返信) ある記事に「ゴッサムはニューヨークの暗く陰のある側面で、スーパーマンのメトロポリスはニューヨークの明るい顔」という一文があった。そこに「愚か者の村」という由来まで重なると、道化のジョーカーが暴れ回る街の名前としては、ますます出来すぎている気がしてくる。 23. 海外の名無しさん スレ主、もしかしてポッドキャストの『Lateral』を聴いてる? ちょうど同じ話を聞いたところだった。スレ主のリンク先は元の言い伝えについてあまり詳しくないけど、BBCの記事のほうが掘り下げてるよ。要するに、村人たちは王の道を村に通されないように、うつる狂気にかかったふりをして、税の負担を逃れたという話。それとBBCの記事も指摘しているけど、ニューヨークはバットマンが生まれるずっと前から、このあだ名を自分たちで使っていた。純粋な悪口でしかなかったら、そうはならなかったはずだよ。 24. 海外の名無しさん(>>23への返信) アーヴィング本人もニューヨーク生まれなんだよな。地元の人間が皮肉のつもりで付けたあだ名を、言われた側が結局気に入って、200年以上使い続けている。ニューヨークらしいといえば、らしい話だと思う。 25. 海外の名無しさん(>>23への返信) スレ主だけど、そのポッドキャストは聴いてなかった。教えてもらったから聴いてみるよ。きっかけは、アメコミの掲示板で「DCの世界で、なんでわざわざゴッサム・シティなんかに住みたがる人がいるのか」というスレを見たことなんだ。そこからニューヨークがゴッサムと呼ばれるようになった理由を調べ始めて、今回の話に行き着いた。本当に今日知ったばかりの話なんだよ。 まとめ 「ゴッサム」はもともと、王の一行を遠ざけるために村人がそろって愚か者を演じた、という言い伝えが残るイングランドの村の名前だった。1807年にアーヴィングがその名をニューヨークへの皮肉に使い、街の別名として定着した。コメント欄では、村人が王の訪問を嫌った現実的な理由の考察や、発音は「ゴータム」だという地元の声が並んだ。愚か者の村の名前は、今も大都会の呼び名として生きている。 元ソース: 「ゴッサム」の起源は中世イングランドにさかのぼる。一部の資料で「愚か者の村」とされたゴッサムという村があり、1807年に作家ワシントン・アーヴィングが自身の定期刊行物でニューヨークを揶揄してこの名で呼んだ。以来、そのあだ名が定着している The post 「ニューヨークの別名『ゴッサム』は、もとは愚か者の村と呼ばれたイングランドの地名」1807年、作家が皮肉で付けたあだ名が今も残っている… appeared first on みんな知ってた?【海外の反応】.…