
そもそも外国人の犯罪は増えているのか。東京新聞は統計データを確認した。 統計データはどうなっているのか。 日本全体では、外国人の人口は2004年で短期滞在者も含めて197万人。2023年は377万人と2倍近くに増えている。 しかし、法務省がまとめた「犯罪白書」によると、刑法犯で検挙された外国人は、2004年の1万4766人から、2023年は9726人と34%減っている。2023年は前年よりも増えたが、これはコロナ禍の反動とみられ、長期的には減少傾向にある。 凶悪犯(殺人、強盗、放火、不同意性交など)で検挙された外国人は、2014年は247人、2023年は361人と約1.5倍増えた。この間に在留外国人は1.6倍増えており、外国人が重大な犯罪を起こしやすくなっているとはいえない。 トルコなどの少数民族クルド人の多くが集まって住んでいる埼玉県はどうか。 埼玉県内の外国人人口(短期滞在は除く)は2015年時点で13万9656人だったが、2024年には26万2382人と倍近くまで増えた。だが、外国人の刑法犯の検挙人数は2015年は717人で、2024年は641人と1割減っている。全国と同じく減少傾向にある。 約2000人ほどのクルド人が住んでいるといわれる川口市では、2004年時点で1万4679人だった外国人人口(短期滞在は除く)が2024年に4万3128人とほぼ3倍に増えた。 一方で、川口市内の刑法犯の認知件数を見ると、2004年は1万6314件だったが、2024年は4529件へと大幅に減少した。川口市でも犯罪の増加傾向はみられない。 川口市の治安が悪化しているとの一部の指摘に、埼玉県警の野井祐一・本部長が昨年末の県議会で「川口市内における犯罪情勢が特段に悪いという評価はしていない」との認識を示した。 国立社会保障・人口問題研究所の是川夕・国際関係部長は「データは長期的に外国人による犯罪は減っていることを明確に示している。外国人による犯罪が増えていると主張するのは無理だ」と指摘する。 以上の検証の結果、東京新聞は、参政党や自民党の主張は、外国人により治安が悪化していると誤解させる「ミスリード」と判断した。 ◆これも誤り「外国人の不起訴率が上がっている」 外国人の犯罪に関連して、「外国人の不起訴率が上がっている」という発言もあった。改めて法務省がまとめた「犯罪白書」を見ると、2023年の外国人の刑法犯の起訴率は41.1%だった。 日本人を含めた刑法犯全体の起訴率は36.9%で、外国人の方が4.2ポイント高い。 2014年からの10年間をさかのぼっても、起訴率は40%前後で推移している。 このため、裁判にならなかった「不起訴率」は60%前後で推移していることになり、「外国人の不起訴率が上がっている」は「誤り」であると判断した。…