観光庁は、近接する観光地同士が連携して誘客に取り組む「観光圏」制度の運用見直しを検討している。観光圏として認定された地域でも、旅行商品の開発や発信などに課題が残る場合があり、支援の拡充が必要と判断した。観光圏向けには、バスの運行回数を増やす際に必要な手続きを緩和するといった支援策をすでに用意しているが、使っていない圏域があることを踏まえ、活用促進策を探る。財政面の支援拡大も選択肢に入れる。 観光圏は2008年に制定された観光圏整備法に基づき、国内外の旅行客が圏内に2泊3日以上滞在することを目指すもの。「雪国観光圏」(新潟、群馬、長野各県の7市町村)や「豊の国千年ロマン観光圏」(大分県の8市町村)など計11の圏域が国に認定され、地域の魅力を体感できる旅行商品の開発やPRに取り組んでいる。 ただ観光庁によると、商品開発のノウハウや情報発信に関する人員・予算の不足を指摘する声が現場から上がる。観光圏向け支援策の活用も進んでおらず、用意している七つのメニューのうち実際に使われているのは、路線バスの運行回数を増やす際の手続き緩和のほか、ホテル・旅館のフロントで旅行業者の体験型ツアーを販売できる仕組み、「認定観光圏案内所」を設置できる特例の計三つのみ。6観光圏は全く活用していなかった。 こうした現状を受けて、観光庁は有識者会議を立ち上げて対応を協議。今後、各観光圏の意見を聞いた上で、11月をめどに対策の方向性を取りまとめる。…