2: ◆eBIiXi2191ZO 2015/07/01(水) 18:43:57.75 ID:LvbKK3q50 楓「Pさん。このまま、逃げちゃいましょうか……」 P「えっ?」 Pさんに、そんなことを言ってみた。 P「え? いきなり逃げるって……どこへです?」 楓「私たちふたりのことなんか、だーれも知らない。どこか遠い遠い異国、とか」 P「あーいいですねー。でもその前に仕事しますかねー」 抑揚のないPさんの生返事。 私は目の前に広がる海を眺め、頭の中で逃避行を試みる。 楓「ふたりで、バナナ農園とか経営したりして」 P「なんでバナナなんすか」 まあ現実はそれを許すはずがないけれど。 リゾートで、水着の撮影。 羞恥の心が占める今の気分は、逃避にもってこい。 3: ◆eBIiXi2191ZO 2015/07/01(水) 18:45:16.13 ID:LvbKK3q50 楓「ところでPさん」 P「はい」 楓「やっぱり、恥ずかしいですね」 P「温泉じゃあ平気だったのに?」 楓「あれはまあ、趣味ですから」 この仕事をはじめて、肌を露出することの抵抗感はいくぶん薄らいだとは、思う。 ただやっぱり、水着ってこう特別ななにか、がある気もするのだ。 趣味に浸る愉しみとは、そもそも比較対象が違うように感じる。 P「じゃあ、やめます?」 楓「いえ」 私は即答で否定する。 楓「Pさんが厳選した仕事でしょう?」 P「ええ、そうですね」 彼はほほを掻いた。 楓「なら、完遂します。私たちは運命共同体じゃないですか」 P「運命共同体、ねえ……ま、そうですかね」 Pさんはプロデューサーで、私はアイドル。 ビジネスライクに見えても、そう割り切ることのできない関係。 それがどうにも歯がゆいことだって、ある。…