1 : ネグレクト(育児放棄)傾向のある家庭の子どもにとって、日中の居場所となる教室や栄養バランスのとれた給食がなくなる夏休みは“危険な時期”だ。夏休み中に食生活が悪化して、結果的に虫歯になっても歯科医院に連れて行ってもらえない「デンタルネグレクト」が起きるケースもある。小児専門歯科医が目の当たりにしてきた「子どもの口の中」から浮かび上がる家庭環境とは――。 「昨日は、20本の乳歯すべてが虫歯になった4歳の子が来ました」 こう話すのは、小児専門の歯科医院であるエンゼル歯科(神奈川県平塚市)の佐々木明彦院長だ。平塚市や周辺自治体と連携している同院には、乳幼児健診の結果に問題があるなど家庭環境に懸念がある子どもたちも多く診察を受けに来る。 なかには前歯が折れているのに放置されている子もいて、親が説明するとおり目を離した隙に転んだり階段から落ちたりしたせいなのか、実際は殴られるなどの虐待を受けたせいなのか、口腔内の損傷状況から慎重に判断することもある。だが、最も多い症例は、やはり虫歯だ。 「虫歯になっても放っておかれるデンタルネグレクトは、多くの場合、子どもの様子に十分に目を配るだけの精神的・時間的余裕がない、経済的な事情で歯科医院に連れて行けない、といった保護者の事情が背景にあります。ひとり親世帯だったり、認知症のおばあちゃんの介護に追われていたり、きょうだいのうち発達障害がある子のケアにかかりきりになっていたりと、家庭環境が切迫する原因はさまざまです」 以下ソースで…