成人したとき、家にある子供の頃の服を捨てようとしたら、母に泣いて止められた。虫食いだらけで色褪せた古臭い服なんて人に上げられるわけもないし、思い出なら数枚だけ取っておけばいいと言ったのに、「絶対ダメ、捨てたら許さない」と睨まれて泣かれた。引っ越しの予定もあるし、衣類ボックス大3つ分は多すぎる。ちゃんと手入れすると約束しても翌日には「なんのこと?」となるのがいつものことだったから、無視してゴミ袋に詰めていたら——「昔の私ちゃんはこんなことしなかった」「優しい頃の私ちゃんは何処に行ったの」「これは良い子だった私ちゃんの遺品だ」「遺品」って言い方が、もうダメだった。…