展覧会概要 ニューヨークを拠点に活動するアーティスト、クレイグ・コステロ氏は、2018年にアニエスベー渋谷店のファサードに作品を制作し、渋谷のストリートシーンのアイコンとして親しまれてきました。3年ぶりの来日となる今回、アニエスベー ギャラリー ブティックで新作シリーズを発表します。 本展のタイトルは、長年にわたり多くのミュージシャンに引用されてきた楽曲から着想を得ています。特にコステロ氏が強く惹かれたのは、「again」という言葉が持つ力です。「自分らしくあること」の大切さを改めて問いかけるこの言葉は、コステロ氏自身の創作姿勢と深く共鳴し、展覧会全体を貫くメッセージとなっています。 新作シリーズ《Thank you for letting me be myself again》 新作シリーズは、紙を支持体とし、アクリルとエナメルが幾重にも積み重ねられた作品群です。絵の具の堆積は紙そのものの厚みを凌駕するほどに達し、その表面には粗く、累積し、剥ぎ取られたすべての過程が刻印されています。まるで地下鉄の壁面から引き剥がされてきたかのような質感が特徴です。 コステロ氏は絵の具を意図的に制御しながらも、同時にそれを解放します。重力に従い落下し流れゆく物質の運動に委ねることで、降り注ぐ水、炸裂する花火、あるいは天体の運行を想起させるイメージが生成されます。これらの作品は、習作であると同時に、それ自体として完結した自律的なオブジェクトでもあります。より大規模な絵画に向けた思考の痕跡を内包しながら、ドローイングとして独立した存在感を完全に確立しています。 アーティストプロフィール クレイグ・コステロ氏は、絵画、サイトスペシフィック・インスタレーション、写真など分野横断的な活動を展開しています。自身の制作活動に加え、画材ブランド兼クリエイティブ・スタジオであるKRINKのビジュアルやコンセプト全体も手掛けています。 実験と革新はコステロ氏の制作の核であり、消火器や園芸用スプレー、靴墨ボトルといった型破りな道具を用いて、アートの枠組みを拡張してきました。これらのツールは彼の手の一部のように機能し、多様なスケールとコントロールで独自の痕跡を生み出しています。1980年代のニューヨークにおけるグラフィティ・ライター、スケーター、パンクといったサブカルチャーに浸っていた形成期に、DIY精神のルーツがあります。 コステロ氏はまた、建物の頂上からトンネルの奥深くに至るまで、常に新たなキャンバスを求め続けてきました。彼の作品は、建築、スケール、反復の探求となり、都市空間の中でその痕跡が視認されるよう、緻密に設計されています。制作は周囲の環境から強い影響を受けており、その環境自体が創作プロセスにおいて不可欠かつ絶えず変化する要素となっています。 現在、コステロ氏は積極的にグラフィティを行ってはいませんが、それは依然として彼の作品において重要な役割を果たしています。サンフランシスコでの正式な美術教育の過程で、写真やコンセプチュアル・アートにも取り組みました。この実践はグラフィティのルーツと自然に結びつき、従来のタグから、よりミニマルでジェスチャー性の高い痕跡やドリップへと移行していきました。グラフィティにおいてスタイルは個性の表現手段であり、しばしば非グラフィティの人々には判読できません。コステロ氏はこの「可読性」の概念に着目し、文字の操作を通して抽象的な形態を生み出しています。 彼の制作の中心は絵画であり、特に大判作品やサイトスペシフィック・インスタレーションに重点が置かれています。これにより、グラフィティの持つ一過性を超え、キャンバスや壁面が持つ持続性を取り込むことが可能となっています。コステロ氏の絵画は、形態的な表現や素材の物質性、さらには過剰性を探求しています。そこから生まれる形態は、伝統的なフォルムを想起させつつ、動きの感覚を帯びています。彼の作品は、制御と制御不能のあいだの繊細な相互作用を捉えており、流し込み、スプレー、ドリップといった技法を用いることで、即興性や流動性を喚起します。彼のジェスチャーや動きは意図的でありながら、同時に絵具やインクが自律的に振る舞い、自由に飛散し滴り落ちることを許しています。その結果として予測不可能な形態が生まれます。この精密さと不完全性の受容の並置こそが、彼の重要な探求のひとつとなっています。 コステロ氏は、パレ・ド・トーキョー、V1、ダイチ・プロジェクトなど世界的に著名なギャラリーや美術館で展示を行ってきました。彼のインスタレーションは、東京、パリ、ソウル、ローマ、ロンドンといった都市でも展開されています。また、Nike、Tiffany & Co.、Virgil Abloh、Tommy Hilfigerといったクリエイターや著名ブランドとのコラボレーションも行っています。 アーティストの活動に関する詳細はこちらからご覧いただけます。 Craig Costello公式サイト 展覧会情報 クレイグ・コステロ(KR)『Thank you for letting me be myself again.』 会場:アニエスベー ギャラリー ブティック 東京都港区南青山 5-7-25 ラ・フルール南青山 2F 会期:2026年5月30日(土)―7月31日(金) 時間:12:00―19:00 休廊日:月曜日(7月20日除く) 展覧会の詳細はこちらをご覧ください。 アニエスベー公式サイト 関連プログラム アニエスベーでは、本展にあわせて以下の関連プログラムを展開しています。アニエスベー ギャラリー ブティックは、アニエスベー渋谷店およびPARCO MUSEUM TOKYOから徒歩圏内に位置しており、あわせて巡ってお楽しみいただけます。80年代から現在に至るまで、ストリートからのインスピレーションを大切にし続けてきたアニエスベーの現在をご体感ください。 『agnès b. on aime le graff!! _50年、ストリートとともに』 会場:PARCO MUSEUM TOKYO(東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO 4F) 会期:6月8日(月)まで 時間:11:00―20:00 ※最終日は18時閉場 ※入場は閉場の30分前まで 入場料:500円(税込)※未就学児無料 ※「アニエスメンバーシップ」ご登録でご本人様のみ無料 詳しくはこちらから: PARCO MUSEUM TOKYO BIKO&KENNY『MURAL』 会場:アニエスベー渋谷店 3Fカフェスペース(東京都渋谷区神宮前6丁目19−14 3F) 会期:6月30日(火)まで 時間:11:00―20:00 入場無料、休業日なし 詳しくはこちらから: アニエスベー渋谷店 アニエスベーについて アニエスベーは、フレンチカジュアルを代表するパリのブランドです。流行に捉われることなく、着心地の良さやカッティングにこだわったエスプリ溢れる洋服は、世界中の人々に長く愛されています。また、アートや映画、音楽との関わりも深く、ファッションを通じた社会活動や、海洋探査船タラ号のサポートをはじめとした環境保護活動にも積極的に取り組んでいます。 読者様お問い合わせ先 アニエスベー TEL: 0120-744800…