
「ファウルだろ!」「ふざけたロスタイム」松木安太郎の“松木節”解説はなぜ生まれたか「W杯優勝には選手だけじゃない、すべての力が必要」「ファウルだろ!」「ふざけたロスタイム」――。テレビ朝日のサッカー中継でお馴染み、松木安太郎の解説スタイルは、時に“居酒屋解説”とも揶揄される。しかし、その根底にあるのは、単なるキャラクター作りではない。日本サッカーが世界の頂点に立つために必要な「ある信念」だった。■ 冷静だった初解説、そして「ちょっとの差」の洗礼松木が初めてW杯の解説席に座ったのは、1998年フランス大会のアルゼンチン戦。当時はまだ落ち着いた語り口だったという。しかし、バティストゥータの一撃に沈んだ「ちょっとの差」を目の当たりにし、松木の心に火がついた。「追いつけ、逆転しろという思いで解説していた。結果的にやられたのは1発だけだが、その“ちょっとの差”がどれだけ大きな壁かを感じた」2001年に東京ヴェルディの監督を退任して以降、松木は「解説」という立場から日本代表と共に戦うスタイルを確立していく。■ 「自分も代表に合わせてコンディショニング」松木の「本気」は、マイクの前だけにとどまらない。日本代表が戦う大会期間中、自身もジョギングや散歩、プールでのスイミングを日課にし、コンディションを整えるという。「日本代表のみんなが頑張って戦っているんだから、自分も負けていられない」2010年南アフリカ大会のパラグアイ戦後には、悔しさのあまり人目を憚らず号泣した。2018年ロシア大会のベルギー戦では、スタンドで頭を抱えた。誰よりも現場で、サポーターと同じ温度で一喜一憂してきたのが松木安太郎という男なのだ。■ 「選手の質だけじゃ、優勝はできない」なぜ、そこまで感情を露わにするのか。松木はかつての名選手ドゥンガやリトバルスキーの言葉を引用してこう語る。「代表チームを取り巻くすべての存在が同じ方向を見て、同じ気持ちじゃないと優勝なんてできない。選手の質だけじゃない。すべての力を結集しないといけないんです」サポーター、メディア、そして解説者。周囲の人間すべてが一つになった時、初めて「優勝」への道が開ける。松木の熱い言葉は、茶の間で観戦するファンを巻き込み、日本中を一つの「チーム」にするための仕掛けでもあったのだ。■ 北中米W杯、響かない“松木節”への寂しさ現時点で、今年6月の北中米W杯において松木が解説を務める予定はない。ピッチの熱量をそのままマイクにぶつけるあの声が聞こえない本大会。それはどこか、物足りなさを感じさせる。日本代表が本気で世界一を目指す今、私たちは松木が問いかけたように、それぞれの立場で「本気」になれているだろうか。【サッカー】「ファウルだろ!」「ふざけたロスタイム」松木安太郎の松木節解説はなぜ生まれたか「W杯優勝にはすべての力が必要」 [ゴアマガラ★]…