全てのレス元スレ 1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/05/14(金) 00:52:13.25 :97gKkE/X0 おそらく自分は、普通の人生を送れない。 なんとなくそう意識し始めたのは、たぶん中学生の時だったと思う。 放クラの活動が軌道に乗ってきて、アイドルをすることにも慣れてきた頃、周りの同級生たちが部活を始め、それまでお遊びだったクラブ活動とは打って変わって、本気で「大会」を目指すような部活動を始めて、なんとなく感じ始めた。 もちろんあたしは部活動はどこにも入っていなくて、アイドル活動で成果を出すことで特例として認められていた。他のみんなにその話をするときは、ちょっと誇らしい気持ちだったのを覚えている。普通じゃない、特別な優越感。 でもわがままなことに、同級生たちと競い合う時間を、ちょっと羨ましく思うこともあった。 蝉が鳴いている。その蝉の声と同じくらいの音量で、吹奏楽部が練習している音が聞こえてくる。 高校の教室は校門から遠いところにあって、中庭を通っていると、教室で練習している吹奏楽の音がよく聞こえる。こんなに大きな音を出す楽器より大きく聞こえる蝉の鳴き声って、すごい。 なんとなく「あー」と声を出してみると、芝生を踏む自分の足音が、消えてしまったような気がした。…