
「酒じゃないから健康的」は誤解…「ノンアルコールビール」飲み過ぎが招く“健康リスク”とは【糖尿病専門医が解説】 「三鷹駅前たなか糖尿病・内科クリニック」(東京都三鷹市)院長で、糖尿病専門医の田中祐希さんは、「『ノンアルコールビールは、アルコールが含まれていないから健康的』と誤解している人が多く、中には毎日2~3本飲んでいる患者も少なくありません」と話しており、飲み過ぎには注意が必要だと指摘します。 もしノンアルコール飲料を飲み過ぎた場合、どのような健康リスクが生じる可能性があるのでしょうか。田中さんに聞きました。 Q.では、ノンアルコールビールを飲み過ぎた場合、どのようなリスクが想定されるのでしょうか。 田中さん「実際に私の近所のスーパーでは、ノンアルコールビールが7種類販売されていました。7商品ともアルコールは0.00%でしたが、糖質量は1缶(350ミリリットル)当たり、最も少ない商品で0グラム、最も多い商品で22グラム程度の糖質を含んでいました。通常のビールは1缶当たり10グラム程度の糖質の商品が多いので、ビールよりも糖質が多いノンアルコールビールがあることになります。 ノンアルコールビールを飲み過ぎた場合にどのようなリスクがあるか考えてみましょう。まず、アルコールについては、アルコールが0.00%のものについては、全くアルコールを含まないため、アルコールの害を受けることはありませんが、1%未満の微量のアルコールを含む微アルコールビールは、量が多くなるとビールと変わらないアルコールを摂取することになります。 1%未満の微量のアルコールを含む飲料については、微アルコール飲料と分かりやすく表記されている商品もありますが、成分表示を見て確実にアルコールが0.00%であることを確認すると良いでしょう。 次に糖質についてです。糖質については、先述のように1缶当たり最小で0グラム、多いもので22グラムと、通常のビール以上に多い商品もありました。糖尿病の検査で、75グラムブドウ糖負荷試験という、高糖質のジュースを飲んでどこまで血糖値が上がるかを調べる試験があります。糖質が多いノンアルコールビールを3缶ほど飲むと、これに匹敵する糖質量となり、かなり多いことが分かります。 飲料に含まれている糖質は消化、分解の手間が少なく、急速に体に吸収されるため、血糖値の急激な上昇を招きやすいです。そのため、糖尿病などで糖質を制限している人、日頃から糖尿病予防に努めている人は糖質が0グラムの商品を選ぶと良いでしょう。また糖質の過剰摂取が続くと、肝臓に脂肪が蓄えられ、脂肪肝になっていくため、アルコールが0.00%の商品を選んだとしても、結局、肝臓を傷めることになってしまいます。 アルコール0.00%、糖質0グラムのノンアルコールビールであれば、好きなだけ飲んでもよいかというと、そういうわけではありません。こうした商品はアルコールを全く含まず、糖質も含まないので血糖値や肝臓への影響がなさそうだと感じるかもしれませんが、商品に含まれている人工甘味料が問題になります。人工甘味料を大量に摂取すると過食をしやすくなったり、『腸内細菌叢(そう)』(腸内フローラ)が変化し、下痢をしたりするようになるため、ノンアルコールビールを飲む際は、やはり適量を守ることが重要です」…