828: 本当にあった怖い名無し 2018/01/14(日) 13:01:09.33 ID:Nx3SakP80.net 心霊とかじゃないんだけど、子供の頃、怖かった話。 夕飯を食べてくつろいでいた日。 玄関でチャイムの音がしたから、10歳くらいだった自分は率先して出た。 両親共働きで祖父母と小さな弟しかいなかったから。 すでに鍵を掛けてしまっていたが、玄関ドアと磨りガラスごしに女性だとわかった。 近所の人かと思い、何も考えずに開けてしまった。 入ってきたのは初老の女性で見たことも無い人だった。 老女は「この本を買ってくれ、1000円」と言い、目の前に古びた本を突き出した。 祖父がどうしたーと言いながら玄関まで来ると、入ってきた老女は同じことを繰り返した。 こんな古びた本に1000円?と10歳ながら不信感を顔に出していたと思う。 祖父は「わかった、1000円な」と言い、老女に1000円札を渡した。 にんまりと笑った老女の顔が気持ち悪いこと気持ち悪いこと。 すると老女は「良かったなー、これで赤猫は出ないよ」と言い、帰っていった。 古びた本はただの推理ものの本。 なんでこんな本に1000円も出すの?と祖父に言うと「出さないと大変なことになる」と言った。 よくよく聞いてみると赤猫とは放火魔を指す隠語でずっと昔からあるらしい。 つまり自宅が放火犯に狙われていたと言うこと。 翌日、学校に行くと同じ人が区内に出没していたことがわかった。 同級生や年上年下の学年に渡り、わかっただけで二十数件。 赤猫は同じ場所を避けるらしく、同じ地域に出没しないと言う。 確かにこの老女以降、数十年経つけど現れていない。 被害届も出されない。恨まれたら、今度こそ放火される可能性が高いから。それも地区ごとに狙われるらしく、連帯責任として、どこの家が放火されるかわからないらしい。 だから警察沙汰には決してならなかった。 数十年前に亡くなった祖父は「1000円で安全を買えるなら安いものだ」と語った。…