1:七波羅探題 ★:2025/04/30(水) 09:07:19.47 ID:yYyy15nc9.net 産経新聞 2025/4/29 13:00 運転手不足が続くトラックやバス業界で特定技能の在留資格を持つ外国人をドライバーとして採用する動きが広がっている。専門の技能があると認められた外国人に与えられる特定技能に昨年3月、自動車運送業の分野が追加され、中国人のトラック運転手やインドネシア人の観光バス運転手が勤務を予定。外国人が国内でハンドルを握る光景は近く日常となりそうだ。一方で、交通ルールの違いなどを要因とする事故の懸念もあり、企業や支援団体は手厚い教育により事故を防止する取り組みを進めている。 人材確保は困難 「日本でドライバーとして働きたかったので楽しみ」。さいたま市の食品物流企業「アサヒロジスティクス」に4月に入社したばかりの中国出身の周鴻澤(しゅうこうたく)さん(24)は期待を膨らませる。 特定技能制度は平成31年4月に創設され、最長5年間働ける1号と、家族が帯同できて事実上永住できる2号がある。 周さんは平成31年に来日し、福岡県内の大学で学びながら日本で運転免許を取得した。昨年12月に国内で初めて行われた特定技能1号の評価試験合格者の一人で、同県内の「外国人ドライバー支援機構」のサポートを受け、就職が決まった。 日本での勤務を選んだのは「交通ルールが厳しく、人々の安全意識が高くて運転マナーもよい。日本は運転がしやすい」のが理由。先輩社員が運転する車に1カ月同乗して経験を積み、社内試験を通過した後にハンドルを握る予定だ。永住可能な特定技能2号の取得も目指しており、「事故を起こさないよう運転したい」と気を引き締める。 アサヒロジスティクス人財本部の高橋寛本部長は「この1年で約620人のドライバーを採用したが、拠点も仕事も増え続け、充足させるのが難しい。日本人、外国人を問わず運転に興味のある人を育て、ドライバーを創出する必要がある」と採用の理由を説明する。 同社では今年度、外国人6人の採用を計画しており、受け入れのノウハウを蓄積するという。 社会課題を解決 外国人ドライバー支援機構によると、給与面など待遇のよさから日本での勤務を希望する外国人は多く、人手不足に悩む日本企業の採用意欲も高い。同機構は運送業界の人手不足に対応するために設立された会社で、グループ会社は福岡県やカンボジアで自動車学校を運営。日本式の運転教育や免許取得、日本語能力の向上や生活支援まで一貫したサポートを行い、企業とマッチングする。 同機構の小林良介社長は「いまはコンビニエンスストアで外国人スタッフが働く光景は普通になったが、スタート時点がすごく大事で、安全に働いてもらうことで浸透していく」と強調する。 日本と比べて安全運転に対する意識が低い国もあるのが実情で、「ここを正すことが大事だ。外国人が働くことで日本の社会課題が解消できていく。事故が問題となり、制度はあるけど使えない状況にならないよう、安全教育のスタンダードをつくりたい」と語る。 「2024年問題」影響 トラック業界だけでなく、バス業界でもインドネシア国籍の男性が、両備グループ(岡山市)のニッコー観光バス運転手として勤務を予定。札幌市は3月、バス会社などと連携し、外国人留学生をドライバーとして採用するためのモデル事業に取り組むと発表した。 人口減少や時間外労働規制の強化によって物流分野で人手不足が深刻化する「2024年問題」の影響は今後も続く。 政府は令和6年度からの5年間で、トラック、タクシー、バス業界で合計約28万8千人の人手不足が見込まれると推計。内訳はトラックが約19万9千人、タクシーが約6万7千人、バスが約2万2千人で、生産性向上などを行っても不足が見込まれる約2万4500人を、特定技能外国人として受け入れる計画だ。 数倍の育成コスト 特定技能評価試験は即戦力として働くために必要な知識を持つことを確認する目的で行われ、自動車運送業分野での合格者も相次ぐ。採用が進むかは、最初にハンドルを握る人たちの評価や企業の取り組みが鍵を握る。アサヒロジスティクスでも日本人ドライバー以上に教育に時間とコストをかけるといい、高橋本部長は「現時点では日本人より数倍のコストがかかるが、特定技能外国人の採用には事故を起こさないための万全な体制が求められる。採用を検討する他社の参考になれば」と話している。(一居真由子)…