世間の大きな注目を集めたフジテレビ問題は、3月末がめどとされる第三者委員会の調査報告で一つの山場を迎えると見られる。フジテレビでのCM放映見送りを実施したスポンサー企業は、その後、どう対応するのか。視聴者の「テレビ離れ」が顕著な今、そもそもテレビCMにどんな価値があるのか。フリーライターの池田道大氏が、かつて看板商品「キットカット」のテレビCMを中止する決断を下した、元ネスレ日本社長の高岡浩三氏(ケイアンドカンパニー代表取締役)に聞いた。 (省略) そんなある日、故・みのもんたさんが司会を務める番組がふと目に入った。そこで、白衣を身にまとった医師が、赤ワインに含まれるポリフェノールには血液をサラサラにする効果があると解説すると、赤ワインが飛ぶように売れた。 「“あっ、これだ!”と思いました」と高岡氏は振り返る。 「CMに何十億円投資しても売上も利益も変わらないのに、利害関係がない人が番組で商品を紹介したらバカ売れする。もう視聴者は、クライアントにとって良いことしか言わない広告なんて信じていないのだと思いました。ちょうどその頃、原書で読んだ『ブランドは広告で作れない』(アル・ライズ、ローラ・ライズ著)というマーケティングの本にも、“これからの時代はムダな広告費を使うよりPRを活用せよ”と書いてありました」 関連記事…