
宮古島「発達障害児8年で44倍増」の衝撃 不安募らす島民 「言われている理由では説明がつかない」全国平均は2.25倍 東京から飛行機で3時間弱、エメラルドグリーンの海に囲まれた沖縄の離島、宮古島。国内外からの観光客でにぎわうこの南の楽園に、異変が起きている。全国平均をはるかに上回る勢いで発達障害児が増えているのだ。不安を募らせる住民、懸念を深める専門家。原因不明の中、行政も重い腰を上げ始めた。いったい何が起きているのか。現地に飛んだ。 (中略) 全国平均は2.25倍 校長らの説明によると、平一小には現在、通常学級が全部で18、特別支援学級が6クラスある。特別支援学級の内訳は、自閉症や情緒障害など発達障害の子どものためのクラスが4、知的障害児のためのクラスが1など。特別支援学級に在籍する児童は同校全体で30人余り。これとは別に、普段は通常のクラスで学ぶが、特別支援学級の児童と同じような特別な指導、いわゆる「通級指導」を必要とする児童が50人余りいるという。 村上課長は「発達障害児が増えているかはわからないが、配慮が必要な子が増えていることは認識している。そうした子どもたちのための空間が必要だということでプレハブ教室を建てた」と慎重な言い回しで説明した。 沖縄県学校基本統計によると、宮古島市では、小中学校の特別支援学級に在籍する自閉症・情緒障害の児童・生徒数は2013年度まではゼロだった。2014年度に6人を記録。その後、急速に増加し、2022年度には過去最高の265人になった。8年間で44倍も増えたことになる。2023年度は前年度比でほぼ横ばい、2024年度は前年度比15%減ったが、それでも224人と高水準だ。 発達障害児は全国的に増加傾向にあるが、宮古島市の増加率は全国平均を大きく上回る。文部科学省の調べによると、全国の小中学校の特別支援学級に在籍する自閉症・情緒障害の児童・生徒数は、2014年度から2022年度の間に8万1624人から18万3618人に増えた。増加率は宮古島市よりはるかに低い2.25倍だ。 小児科医の証言 発達障害児の増加に関して、メディアを通じてよく見聞きするのは、発達障害児が増えているのは、報道などで発達障害に対する社会の認知度や理解度が深まり、その結果、周囲が発達障害児を発見しやすくなったことや、診断基準が確立されたことなどが理由という説明だ。つまり増加しているのは統計上だけであって、実際にはそれほど増えていないという主張だ。 だが、取材した宮古島の住民の多くは「たしかにそういう面もあるかもしれないが、宮古島市の発達障害児の急増ぶりは、それだけでは説明がつかない」と口をそろえる。 「もちろん、配慮が必要な子に周囲の目がより届くようになった結果、発達障害と診断されるケースもあると考えている。しかし、長年、子どもたちを診てきた実感としては、配慮が必要な子が思った以上に増えているというのが率直な感想だ」 こう語るのは、沖縄県立宮古病院の元院長で小児科が専門の安谷屋正明医師だ。宮古島出身の安谷屋医師は2015年に宮古病院を退職した後も、毎年、学校医として市内の小学校を回り、乳幼児健診にもかかわるなど、島の子どもたちの変化や現状を最もよく知る専門家の一人だ。 その安谷屋医師は「発達障害児が増えている原因はよくわからないが、今の状況はとても心配だ」と懸念を隠さない。 出典:…