1: 少考さん ★ hwUdtoYh9 2025-09-14 10:07:16 大切なのは「戦争を始めないこと」 「機動戦士ガンダム」を手がけた富野由悠季監督 | NEWSjp Published 2025/09/14 09:00:00 Updated 2025/09/08 11:05:28 アニメ「機動戦士ガンダム」で総監督を務め、宇宙を舞台にした戦争に巻き込まれた少年少女たちの人間ドラマを描いた富野由悠季監督が、戦後80年に際しインタビューに答えた。平和を守るために大切なのは「戦争を始めないこと」だという―。(聞き手 共同通信=高坂真喜子) 僕は1941年に神奈川県小田原市で生まれました。小さかったので戦争のことはあまり覚えていませんが、近くに焼夷弾が落ちた時の音と火事の色をありありと覚えています。 ―富野監督は「機動戦士ガンダム」など、多くの作品を手がけてきました。 アニメ制作の仕事をする中で、SFの戦記物を創作してきました。宇宙人を「敵」にすることが多かったのですが、79年の「機動戦士ガンダム」は、「敵」を人間にすると決めた時に、重戦闘機レベルの兵器を登場させるためには、兵器産業が存在する国家間戦争しかありえず、戦争の「原因」をつくり出す必要があると気付いて、その必然にがくぜんとしました。 宇宙人なら、地球を乗っ取るために攻めてくるだけでよかったのですが、人間は一人の独裁者だけでは、簡単に戦争は起こせません。「機動戦士ガンダム」の場合、宇宙に浮かぶコロニーに移住して国家をつくった人たちが、地球から棄民扱いを受けた屈辱から、独立戦争を仕掛けたという設定にしました。米国の南北戦争をモデルにしたことで、人種の混交も意識しました。そして、人型兵器の「ガンダム」に乗った少年たちと、宇宙に移住した人々が戦う物語にしました。 ―今年日本では戦後80年を迎えましたが、海外に目を向けると、戦争が続いています。 戦争が起こる原因を考えるのは難しいと言えるのですが、現実にはロシアによるウクライナ侵攻や、イスラエル軍のパレスチナ自治区ガザへの攻撃などが続いているのを見ると、国際政治において、政治家が歴史にとらわれて、戦争についての理解が劣化しているのを痛感せざるを得ません。 それぞれの正義に基づき、「今なら勝てる」と開戦してしまって、その中で恨みが増幅し、やめられなくなるのです。振り上げたおのをそのまま下ろすのが難しいように、武器を一度使ってしまったら、使った者が死ぬまで続きます。 ―戦後80年がたった今、どのように感じていますか。 戦争中に3歳児だった僕でさえ83歳になり、戦争を知る人は少なくなりました。戦後、戦争映画はたくさん作られても、作る側が少しでも戦争を体験していないと、戦争が何なのかをつかみ切れずに、戦闘シーンをゲームとして描くことしか考えられず、アクション映画になってしまうと感じています。 終戦記念日である8月15日は「敗戦記念日」と呼ばなければならなかったと思います。戦後の80年の間に、メディアは玉砕を命じた軍人や政治家たちの肉声を伝え、そこから戦争の実相を学ぶべきでしたが、そうはなりませんでした。戦後生まれの人たちが、戦争について正確に知る必要があります。 一度始めたら戦争は止められない。大切なのは戦争を始めないことです。 × × とみの・よしゆき 「ガンダム」シリーズのほか、「伝説巨神イデオン」「聖戦士ダンバイン」なども手がける。 一般社団法人共同通信社…