[ 1 ] 「世紀の愚策のツケをどのように払うつもりか」。新型コロナウイルス対策として政府が調達した「アベノマスク」を含む約8千万枚の布マスクが在庫として残り続けている問題で21日、参院本会議で論戦が展開された。岸田文雄首相は従来の政府対応をなぞるような答弁にとどめた。 立憲民主党の杉尾秀哉氏は、布マスク配布事業について「『全国民に布マスクを配れば不安はパッと消えます』。安倍晋三元首相の側近官僚による、こんな助言で始まったとされる」と指摘。大量の在庫となった布マスクの保管費について「これまでに少なくとも6億円以上を要する状況が続いている」とした上で、「布マスクの今後の使途を含め、世紀の愚策のツケをどのように払うつもりか」とただした。 松野博一官房長官は15日、希望する自治体や個人に配る方針を示しているが、杉尾氏は「私はこうした希望を寡聞にして聞いたことがない。自治体に押しつけないで下さい」と迫った。 これに対して岸田首相は「介護施設への随時配布をはじめ、費用対効果の観点から適切な方策を検討していきたい」と返すのみで、自治体や個人への配布計画には言及しなかった。 国民民主党の川合孝典氏も、「在庫は月平均で約20万枚しか減っていない。このままのペースだと、在庫処分に要する期間は33年以上かかる計算となる」とした上で、「これ以上の税金の無駄遣いを止めるため、売り払い、譲与、資源リサイクルも考慮に入れた対応を速やかに検討する必要がある」とただした。 岸田首相は自治体への配布方針に触れつつ、同様の答弁を繰り返した。「新型コロナの実態が分からず、先が見通せない中、マスクが入手困難となっていた状況で緊急的に実施をしたもの」とも語った。 (略)…