1::2021/11/08(月) 12:35:58.24 ID:3BMKxtOJ0 BE:421685208-2BP(4000) タイヤは黒い。もう気づいたころからずっとそうだったわけで、何も疑問を持たないかもしれない。でも、ちゃんとした理由があるのだ。 タイヤが黒い理由は、ゴムのなかにカーボンブラックという素材を練り込んでいるからだ。カーボンブラックは塗料や黒インクにも採用されており、小さい粒がぶどうの房のように繋がった構造している。でも、なぜゴムの中に配合しなければならないのか? その理由は、ゴムだけでは強度が弱いから。カーボンブラックを加えることで、ゴムの強度を高めることができるのだ。 そもそも輪ゴムなどのゴム製品は、生ゴムに硫黄を混ぜて加熱することで強度を高めている(これを加硫と呼ぶ)。ゴムを加熱し、硫黄で分子同士を結合(橋かけ)すると、引っ張っても元に戻るといった性質が得られる。すなわち強くなる。 ただ、クルマはとても重い。そして速く走る。つまりタイヤには非常に大きな力が加わるため、加硫だけでは十分な強度が得られない。 そこでカーボンブラックの登場だ。カーボンブラックをゴムに配合すると、ゴムがカーボンブラックのまわりにまとわりつくようなカタチ、つまり大きな橋かけ(架橋点)になり、飛躍的に強度が向上。タイヤ用のゴムだと、カーボンブラック未配合のものと比べて20倍ほど強くなるというのだ。 カーボンブラックにも似ていて、低燃費にも効くし、そしてゴムとの結合も可能になったんだったら、カーボンブラックはヤメてシリカだけでもいいのでは?と思ったりもする。ただ、ご想像のとおりそこにはコスト面という高いハードルが立ちはだかるわけで(シランカップリング剤が高いらしい)、「じゃあ安くするためにカーボンブラックも入れている」というのも確かに理由のひとつ。でもそれ以上にちゃんとした理由がある。「耐候性」だ。 カーボンブラックは紫外線を吸収するため、耐候性に優れた商品となる。タイヤは基本的にずっと紫外線にさらされる。耐候性が低いと、すぐに劣化してしまうわけだ。そんなカーボンブラックの性能が発見されたのは1900年代前半。およそ100年にもわたって、タイヤにはカーボンブラックが使われており、それをコスト面も含めて上まわる素材が登場していない、という意味でもある。 となると、「レース用のタイヤは黒くなくてもいいのでは?」と思ったりもするが、カーボンブラックのほうがグリップ性能が高くなるとのこと。最近のレース用タイヤはもちろんシリカなどの素材も配合され、グリップも燃費も高次元…