1:樽悶 ★:2021/08/24(火) 06:49:28.17 ID:xm795nFG9.net “欧州委員会が7月14日に、以前から2050年ゼロエミッションなどを内容として掲げている「European Green Deal」の一環として、EUの気候、エネルギー、土地利用、交通、税制を適切なものにするための提案をした。 すると8月5日、今度は米国ホワイトハウスがバイデン大統領の名前で、環境に優しい乗用車および商用車についてのリーダーシップを推進していくためのステップを発表した。 日本の一部のメディアはこの2つのニュースをまとめて、「欧州に続き米国もEV化邁進、日本の遅れ目立つ」という内容の報道を繰り返している。でも双方のオリジナルの発表内容を読めば、こうした報道が間違いであることに気づく。 欧州委員会の発表は、乗用車および小型商用車の新車CO2排出量を2035年にゼロにすることを義務付けるというもので、エンジンのみで走るクルマはもちろん、ハイブリッド車(HEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)も禁止し、電気自動車(BEV)と燃料電池自動車(FCEV)のみにするという厳しい方針だ。 一方のホワイトハウスの発表は、ジョー・バイデン大統領が2030年に販売される新車の半数をBEV、PHEV、FCEVなどのゼロエミッション車にするという野心的な目標を設定した大統領令に署名するとある。 設定した年は米国のほうが5年早いが、彼らがゼロエミッションにするのは新車の半分であり、残りはエンジン車でもいいことになる。しかもゼロエミッション車にはPHEVも含めている。 ■日本も参考にすべき“伝え方” 遅くとも2030年代半ばまでに乗用車新車販売でBEV・FCEV・PHEV・HEV合わせて100%実現を目指すという、昨年12月に日本政府が発表した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」より、緩いと思う人もいるだろう。 いずれにせよ、クルマにある程度くわしい人であれば、欧米の発表が似ているとは到底思わないはずだ。 ※省略 ■手を取り合う大統領のメッセージ性 具体的には、充電ステーションの全国ネットワーク構築、消費者へのインセンティブ提供、国内製造業のサプライチェーン再編成と拡大のための資金調達、環境に優しい次世代テクノロジーの推進としている。 こうした投資により、米国は移動と製造の未来を勝ち取り、高給の雇用を創出し、製造業を拡大し、BEVの価格を下げ、世界中に輸出できるようになるとしている。 資金については米国商務省が少し前に、国内自動車産業発展という名目で30億ドルを用意していることにも触れている。 しかもこの発表は、自動車業界を敵に回したものではなかった。 その証拠に発表には、フォード、GM、ステランティスの旧ビッグ3と全米自動車労組(UAW)がホワイトハウスでバイデン大統領と並び、大統領の「Build Back Better Agenda」の支持を示す形となった。自動車メーカーが米国内で高給での雇用を実現するために投資し、産業全体を成長させる必要があるという考えを共有したからである。 テスラが入っていないのは、伝統的な自動車メーカーでないうえに、UAWに加入しておらず、むしろ敵視するような態度を取り続けているからだろう。政府が自動車の電動化を業界といっしょに進めていくというメッセージを出すには、旧ビッグ3やUAWとタッグを組んでいると表明するほうが、国民にとってはわかりやすい。ここでもメッセージの出し方に感心した。 もう1つ発表内容を見て感じたのは、中国への対抗意識だ。 ■追従が目的ではないEVシフト 中国はBEVとバッテリーで世界的なサプライチェーンをリードしているのに対し、米国のBEV販売シェアは中国の3分の1にすぎないことや、米国は中国を凌駕し気候危機に取り組むというメッセージを出すなど、何度も名指しで取り上げている。 ちなみに中国の戦略は、2035年にBEV、PHEV、FCEVが該当する新エネルギー車(NEV)を新車販売の50%とし、残りはHEVなどの低燃費車とするという内容で、目標とする年では米国が中国の先を行くことになる。 では日本のマスコミがひんぱんに取り上げる欧州については言及しているのかというと、まったくない。もちろん批判はしていないが、評価もしていない。 米国内にもこの発表は生ぬるいと批判する声はあるという。 しかしこの計画により、2030年には新車乗用車における温室効果ガスの排出量を昨年と比較して60%以上削減することが可能となり、2030年に経済全体の温室効果ガス排出量を2005年比で50~52%削減するという大統領の目標の達成を促進することができると言っており、温暖化対策に相応の効果はある。 筆者は米国の対応こそ真っ当だと考える。(森口将之) ” 8/24(火) 6:15配信…