「菜々「……お母さん。玄関の前に、知らない女子高校生がいるのですが」残業を終えて帰宅すると、部屋の前に大きなキャリーケースを持った少女が立っていた。母『知らない子ではないわよ。せつ菜ちゃん』菜々「名前を聞いても分かりません」母『あなたのいとこ』菜々「私に、こんなに目立ついとこがいましたか?」せつ菜「優木せつ菜です!今日からよろしくお願いします!」声が大きい。電話越しの母にも、はっきり聞こえたはずだ。菜々「今日からとは、どういう意味ですか?」母『しばらく、あなたの家から学校に通うことになったの。せつ菜ちゃんのご両親とは話がついているから』菜々「私とは話がついていません」母『今、話したでしょう』菜々「一方的に伝えられただけです」母『部屋は余っているのでしょう?』菜々「物置として使っています」母『片づけなさい。それに、あなた一人だと、どうせろくな食事をしていないでしょう』菜々「失礼ですね。昨日は自炊しました」母『何を作ったの?』菜々「カレーです」母『珍しいわね』菜々「レトルトカレーに、冷蔵庫に残っていた野菜を加えました」母『何の野菜?』菜々「レタスです」電話の向こうが静かになった。何がおかしいのだろう。生野菜も一緒に取れて、効率的だと思ったのだが。母『せつ菜ちゃん』せつ菜「はい!」母『この子の面倒を見てあげて』菜々「立場が逆ではありませんか?」通話が切れた。菜々「……」」 「せつ菜「ご迷惑でしょうか?」先ほどまでの勢いが消え、せつ菜さんが不安そうにこちらを見る。制服姿の高校生を、荷物ごと廊下に置いておくわけにもいかない。菜々「……とりあえず、入ってください」せつ菜「ありがとうございます!」せつ菜さんがキャリーケースを引き、部屋へ入る。せつ菜「……」菜々「どうしましたか?」せつ菜さんの視線が、部屋の中を移動していく。テーブルの上には、空になった栄養ドリンクの瓶。流し台には、洗っていないマグカップ。冷蔵庫の中には、レタスと調味料とレトルトカレーしかない。せつ菜「菜々さん」菜々「何で 省略…