1:それでも動く名無し: 2026/06/06(土) 18:25:33.08 ID:dPollqmjd0606.net 「入れ歯を飲み込んだ」と訴えた女性が5日後死亡…解剖で判明した“見落とされた原因” 6/6(土) 13:00配信 ある60代女性が「入れ歯を飲み込んだ」と救急搬送されたが、レントゲンに異常はなく、医師は「精神疾患による妄想」と断定して帰宅させた。しかし5日後、女性は死亡。法医解剖医が喉の奥に見つけたのは、樹脂製ゆえに「透明」化した凶器だった。不運と医療ミスが重なった死の経緯を追う。書籍『法医学教授が教えている 死体の授業』より一部抜粋してお届けする。 ■「入れ歯で死ぬ」 日々、死体に向き合う仕事をしていると、「こんなことで人は死ぬのか」と驚くような事例に数多く遭遇します。ある60代女性の不審な死を引き起こした原因は、入れ歯と不運な偶然、そして医療ミスでした。 ある朝、60代の女性が「朝食中にパイナップルと一緒に、総入れ歯を上下とも飲み込んでしまった」と訴えて救急病院に運ばれてきました。「入れ歯なんて大きいものを飲み込めるの?」と思われるかもしれませんが、義歯(入れ歯)の誤飲は、部分入れ歯のみならず総入れ歯でもめずらしくなく、高齢者にとりわけ多くみられます。 この女性の場合は上下ともに総入れ歯でしたが、夫がすぐに救急車を呼び、かけつけた救急隊員によって「上の入れ歯」はその場で無事に摘出されました。ところが、運ばれた先の病院でも「下の入れ歯」が見当たらなかった。 女性は問診後、すぐにX線検査で頸部と胸部、つまり喉と肺のレントゲン写真を撮ったのですが、なにも写っていませんでした。「もしかするとすでに胃に落ちたのでは」という可能性を考えて腹部の撮影も追加しましたが、やはりなにも見当たらない。そして、女性のカルテをみると「精神疾患の既往歴」がある……。そこで診察にあたった医師は、「この精神疾患に多い妄想だろう」と考えたのです。 本人は意識もあり普通に会話ができる状態にまで回復している。ならば飲み込んだのは「上の入れ歯」だけで、「下の入れ歯」は口から出て自分の家のどこかに落ちているのではないか。あるいはもともと飲み込んでない可能性もある。レントゲンで調べてもどこにも写っていないし、精神疾患の症状に多い妄想によって「飲んでしまった」と思い込んだのだろう。そう見立てた医師は、カルテに「妄想」と記載し、口の中を覗くこともなく診察を終えて患者を帰宅させました。 2:それでも動く名無し: 2026/06/06(土) 18:25:44.43 ID:dPollqmjd0606.net ■入れ歯は行方不明のまま、嘔吐が止まらなくなる 帰宅後、女性は自宅で普段どおりに過ごしたそうです。行方不明の下の入れ歯が部屋のどこかに落ちていないか、夫婦で探したそうですが、みつかりませんでした。ところが、翌日から女性の不調がはじまります。嘔吐が止まらず、固形物はなにを食べても吐いてしまう。液体のジュースや牛乳をストローで飲むのが精一杯。翌々日も同じ症状が続いたため、近所のかかりつけ医を受診しますが、「風邪が流行っているから、感染性胃腸炎でしょう」と診断されて点滴と風邪薬を処方されて帰されます。 このとき、「2日前に入れ歯を誤飲して病院へ行った」との経緯を伝えていれば、もしかすると女性の命は助かっていたかもしれません。でも夫も本人も「入れ歯はない」と言われているので伝えませんでした。 さらにその翌日、嘔吐症状が続いた女性は再びかかりつけ医を訪れたところ、今度は「原因不明だから入院を」と大病院への紹介状を渡されます。ところが、かかりつけ医からの帰路で女性は倒れ込み、偶然とおりかかった警察官が救急車を呼ぶも、その時点ですでに心肺停止状態に。 その状態で病院に運び込まれた女性の人工呼吸を試みようとした研修医が、喉頭鏡(口の中を開ける器具)で喉の奥をのぞいたところ、そこにU字型の「下の入れ歯」がすっぽりはまっているのを発見します。研修医はマギール鉗子(手術器具)ですぐに入れ歯をつまみ出しましたが、女性はその翌日に死亡。「入れ歯とパイナップルを飲み込んでしまった」と病院に最初にかけ込んでから5日目のことでした。 「総入れ歯」は上下でまったく形状が異なります。上の入れ歯は上顎前面を覆ってカポッと吸着するような半円状ですが、下の入れ歯は舌のスペースを邪魔しないようなU字型になっています。 ■体を切り開いてはじめてわかった〝死を招いた肺の状態と入れ歯の行方〟 なにが女性を死に追いやったのか。解剖によって、その原因を突き止めることが私たち法医解剖医の仕事です。まず、解剖した肺の状態は最悪でした。肺を切ると膿瘍(のうよう、膿のこと)がにじみ出てきます。肺胞は本来であれば、空気がとおるようなスポンジ状になっています。しかし、のちに肺の病理組織を顕微鏡でたしかめたところ、女性の肺は好中球(白血球の一種)が増加して炎症を起こし、隙間がみっちりと埋めつくされていました。重篤な肺炎の所見です。 3:それでも動く名無し: 2026/06/06(土) 18:26:11.10 ID:dPollqmjd0606.net また、死亡した女性は甲状腺腫大(甲状腺が大きい状態)があったことが死後に明らかになりました。のどの前側にある甲状腺の腫れにより気管が狭くなり、入れ歯が引っ掛かりやすかったのではないか。そう推測した私は取り出した咽頭を切り開き、粘膜のはがれ落ちた痕、すなわち潰瘍をみつけ出しました。U字型のその跡に研修医が取り出した「行方不明だった下の入れ歯」を重ねたところ、両者はぴったり一致したのです。 解剖の結果、私は「咽頭部の義歯の嵌頓に基づく肺炎」と死因を診断しました。肺炎を引き起こした原因は、咽頭部の膿瘍だったと考えるのが妥当でしょう。要するに、喉の奥に入れ歯がはまっているので、当然食べ物は喉を通りません。それでも食べようとした結果、そこから感染が広がり、たまった膿が肺にまで広がったと考えました。もしくは、食べようとしたものが隙間から気管に入り込み、それを誤嚥して誤嚥性肺炎にいたった可能性もあります。 最初のレントゲン検査で入れ歯がみつからなかったのは、総入れ歯は樹脂のみでできていてX線が透過するため写りにくく、しかも喉の後ろ側には首の骨(頸椎)があるため入れ歯と骨がX線写真で重なってしまい、判断しづらくなっていたのが原因です。さらに、女性の甲状腺が通常よりも大きかったことと、精神疾患の既往歴、そして医師の思い込みといった要因が絡まり、医療過誤を引き起こす結果となったのです。 この結果が出たあと、私もあらためて女性のレントゲン写真を見直しましたが、たしかに同じ医師の目からみても「入れ歯は見当たらない」と診断をくだしてしまうのも無理はないと感じました。検証のため、後日レントゲン写真の濃淡を調整して、解剖結果と比較しながらようやく「これが入れ歯かも?」とギリギリ認識できた程度でした。事実、ほかの複数名の医師が同じレントゲン写真をみましたが、その1枚だけで入れ歯を発見できた人は皆無でした。…