元夫人は思いのほか元気そうだった。会うなり彼女は「ザマーミロよね!」と言ってガッツポーズをしながら、実に清々しい笑顔を見せた。例の映像を見て離婚を決めたらしい。「本当よくやってくれたわ、有難う!」って言いながら俺の両手を掴んで何度も礼を言われた。彼女の笑顔を見て少し報われた気がした。「あの人(社長)は今更人の下に付いて働くなんて、プライドが許さなかったのね」と彼女はつぶやいた。そして(氏へ)逃げたのよと付け加えた。その点、元嫁は地方で地味に働いていて偉いと思うと言われ、はじめて元嫁が何処かに働きに出ていることを知った。地方ショッピングモールの衣料量販店で働いているらしい。元夫人は悪戯そうな目つきで「行ってみない?」と言った。「どこに?」と聞くと「決まってるじゃない」と、いかにも楽しそうに笑った。元夫人は俺の返事を待たずに俺の腕を取ると、そのまま彼女の軽自動車に乗せられた。元社長夫人とはいえ、慎ましい生活を余儀無くされている状況が車種からも見てとれた。…