1: 七波羅探題 ★ C+6Fq1169 2026-02-11 06:41:56 東洋経済2/11 6:15 衆院選が終わった。自民党が単独で3分の2を超える316議席を獲得し、驚くべきことに1955年の結党以来最多の議席数となった。 その一方で、野党第一党の中道改革連合は、公示前の167議席から100議席以上も減らし、49議席にまで落ち込んだ。ほとんど壊滅状態と言っても過言ではないだろう。 ■チームみらいが大きく躍進 野党で大きく飛躍したのは、2025年5月に設立されたばかりのチームみらいで、初の衆院選にもかかわらず比例代表で11議席を獲得した。参政党についても公示前の2議席から大きく伸ばし、比例代表で15議席を獲得した。国民民主党は公示前から1議席増やし、28議席を獲得している。 今回、ポピュリズムの観点からとりわけ注目されるのは、やはりチームみらいである。選挙戦の最中、党首の安野貴博氏の「高齢者の医療費を原則3割負担にする」趣旨の発言は、X上でトレンド入りし、「姥捨て」政策ではないかと大炎上したものの、どちらかといえば支持する人々のほうが多かった印象だった。 チームみらいは公約で、社会保険料の引き下げにより「働く人の手取りを増やす」ことを打ち出している。国民民主党の「手取りを増やす」というキャッチコピーを流用したもので、政策面でも多くの点で重複している。 要は、現役世代の社会保険料の負担を軽減するために、現在75歳以上は原則1割負担などとなっているものを、原則3割へと引き上げることを目指している。 ここには、ポピュリズム的なテコ入れが働いている。まずポピュリズムには「人気取り型」と「反既得権益型」がある。前者は、実現可能かはさておき国民受けを狙った政策を掲げてウイングを広げようとする方向性だ。 後者は、国民の真の代弁者であることを標榜し、改革を阻む既成政党や省益などに固執する官僚などのエリートを既得権益と捉え、不満を持つ国民を味方に付けようとする方向性だ。 後者に関しては、必ずしも今述べた支配層=「上層の既得権益」だけではなく、世代間や地域間の対立に典型的なように、特定の階層を既得権益として示唆する場合がある。 このようなアピールを伴う政治運動を「テクノ・ポピュリズム」と呼ぶ。テクノクラシー(技術家政治)とポピュリズムを組み合わせた造語で、政策決定がイデオロギーや情緒的な世論ではなく、データ、統計、科学的根拠に基づいて行われるものを指す。 有権者と指導者は直接的な結び付きを強めるとともに、具体的に何ができるのか、何ができたのかという成果にフォーカスされている。 そして、この国民民主党のテクノ・ポピュリズムを見事に政策として取り込み、最も効果的な形で「お株を取った」のは、高市政権であった。 ガソリン減税と「103万円の壁」引き上げは、昨夏の参院選で大躍進した国民民主党の悲願であったが、石破政権時には3党合意の実現が遅々として進まない状況になっていた。だが、高市政権が発足後わずか2カ月で、年内実施に舵を切った。その実行力への評価が高い支持率につながっている。 ■最大の勝者は「高市政権」 税制改正直後は、最大の勝者が国民民主党といわれていたが、実は高市政権であったことが衆院選で明確になった格好である。この点において重要なのは、決して「自民党」の評価ではなく、「高市氏」個人の評価であったことだ。 衆院解散を表明した記者会見で「自民党と日本維新の会で過半数の議席を獲得すれば高市首相、そうでなければ野田佳彦首相か斉藤鉄夫首相か別の人か」などと明言したことがまさにそれを示している。 政党側も特に名指ししないことが多いことから、支持者が勝手に「内なる既得権益」とみなすという特徴がある。近年、年金の収益率の世代別試算をめぐって「高齢者は年金をもらいすぎ」「若い世代は払い損」と世代間の緊張が高まったことがそれに当たる。 チームみらいのような高齢者医療の財源の一部を高齢者自身に負担させるという改革の提案は、現役世代の「高齢者が優遇されている」という反感やねたみを利用する側面があり、「内なる既得権益」というポピュリズム的な解釈を強化する可能性がある。 「貴重な財源を使い込む既得権者」対「割を食う現役世代・子ども」という対立構造を暗に招き寄せてしまう懸念だ。シルバー民主主義との闘争というわかりやすい物語への誘惑である。 ■「対立よりも解決」を宣言する国民民主党 そもそも、現役世代を主人公に据え、現役世代の「手取りを増やす」政策に理解を示さない既成政党やエリートたちを抵抗勢力の側に置く、用意周到なポピュリズム路線を切り拓いたのは、国民民主党である。 ※以下出典先で…