1: 匿名 2026/01/05(月) 16:43:23.64 ID:qU3LI36b9 「ワークライフバランスという言葉を捨てる」。 2025年10月、高市早苗首相が自民党総裁に選ばれた直後の発言が大きな話題を呼んだ。女性初の首相として国政に臨む「覚悟」への称賛と同時に、働き方改革の流れに逆行するとの批判も噴出。過労弁護団全国連絡会議は発言の撤回を求めた。高市発言を巡るそんな議論をよそに、最近、SNS上である投稿が話題を呼んでいる。 「今日、残業キャンセルします!」「本日、無事残業キャンセル成功」 定時を回った途端、どれだけ仕事が残っていても退勤する。そんな行為をX(旧ツイッター)で互いに共有し、称賛し合う「残業キャンセル界隈(かいわい)」と呼ばれるコミュニティーが若者の間で流行しているのだ。 ●毎週、残業キャンセル「もう諦められている」 「できるだけ残業はしたくない。毎週、残業をキャンセルする日を自分で決めている」。ある食品メーカーで営業職として働く25歳の女性も「残業キャンセル界隈」の一人だ。17時半を過ぎると、仕事が残っていても素早く荷物をまとめて退勤する。当初は上司から勤務態度について注意を受けていたそうだが、「残業キャンセル」への確固たる姿勢に「最近はもう諦められていて何も言われない」と自嘲気味に話す。 「残業キャンセル」は新型コロナウイルス禍以降に広がった「静かな退職」に関連する現象といえる。 仕事への熱意や会社への帰属意識が低く、最低限の仕事のみをこなす社員を意味するこの言葉。人材情報大手マイナビ(東京・千代田)が発表した「正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)」では、20代の正社員の46.7%が「『静かな退職』をしている」と答え、年代別で最も多かった。 働き方改革関連法の施行やコロナ禍を経て、ワークライフバランスを重視する傾向が強まる中、残業の拒否を「当然の権利」だとする意識が20代を中心に広がっている、だがそもそも残業とは「キャンセル」できるものなのか。実は使用者にとって、残業を命令できるハードルは高い。 ●違法な残業はキャンセルされて当然 まず原則として、労働基準法では1日8時間、週40時間が法定労働時間として定められている。これを超過して従業員を働かせると使用者は刑事罰に問われる。そこで例外的な措置として認めてもらうために、労使で締結するのが「36協定」だ。残業時間に関して労使で定めた同協定を労基署に届け出ることで、免罰的効力が生まれ、使用者は罰則の適用を免れることになる。 また36協定に加えて、「業務上必要な場合は残業を命じる時があり得る」といった規定を含んだ就業規則や、雇用契約も必要となるという。それらを結んだ段階で、初めて使用者は従業員に対する残業命令が可能となる。 企業法務に詳しい大川恒星弁護士は「有効な36協定や就業規則などのない違法な残業はそもそもキャンセルされて当然だ」と話す。 違法とされる残業は他にもある。パワハラ目的や明らかに業務上不要な懲罰的残業などがそれに当たる。上司が気に入らない部下に対して、業務終了後にトイレ掃除を命令するなどといった行為は、それ自体がパワハラに当たるため、残業を拒否しても何ら問題はない。また、介護や育児、健康問題など労働者に重大な不利益を与える残業命令も違法とされている。 一方、大川氏は「このほかの適法な残業命令には原則従う必要がある」と話す。そして「キャンセルした場合、労働契約という会社の決まり事に違反したとして、懲戒処分の対象になり得る」と指摘する。 例えば、期日のあるプロジェクトや緊急の顧客対応などで、1~2時間の残業を命令することは原則、適法といえる。また、命令を拒否して退勤を繰り返した場合、懲戒処分をすることも考えられる。軽はずみな気持ちでの残業キャンセルは、場合によって戒告や減給などのリスクが伴うのだ。 ●解雇は無効か、有効か? どこまでが許され、どこからが許されないのか。「その線引きが難しい場合もある」(大川氏)のが、処分の妥当性についてだ。 例えば01年の最高裁判決。制作会社Xの従業員Aは業務の繁忙期、眼精疲労を理由に残業を拒否し続けた。XはAを、業務命令違反を理由に解雇した。判決では、Aの眼精疲労には医師の診断書があったことから、残業の拒否に正当な理由があるとして、解雇は無効と判断された。 一方、過去には、従業員の勤務態度を巡って、解雇が有効とされた判決も存在する。…