1: シャチ ★ ku53UfRU9 2025-11-05 20:05:24 米アラバマ州で10月に執行された死刑が波紋を広げている。死刑を執行されたのは、1993年に未払いのコカイン代200ドルをめぐり、生きた状態の男性にガソリンをかけて火をつけ殺害したアンソニー・ボイド(享年54)。波紋を広げているのは、ボイドが窒素吸入という2024年に導入されたばかりの新しい方法で死刑を執行されたからだ。 ボイドは一貫して無実を主張しており、死刑執行の直前には「おれは誰も殺してない。殺人に関与したこともない」「このシステムを変えない限り、正義なんてない」という最期の言葉を残したとされる。 大手紙国際部記者は事件についてこう話す。 「事件の被害者はグレゴリー・ヒューグリーさん。ヒューグリーさんはボイドらに銃を突きつけられて拉致された上に野球場へ連れてこられた。そこで粘着テープで身体を拘束されて火をつけられ、殺害された。 ボイドの共犯とされているクィンテイ・コックス受刑者が法廷で、ボイドがテープでヒューグリーさんの両足を縛ってガソリンをかけて火をつけたと証言。陪審員は誘拐中に殺人を犯した罪でボイドに有罪判決を下し、10対2の多数で死刑を宣告しました。コックス受刑者は死刑を免れています。 ボイドは最期まで自身の無実を訴え、窒素吸入による死刑執行の前には州知事への面会を要請しましたが、これもかなわず、死刑は執行されました」 米国では、およそ半数の州が死刑制度を維持しており、制度上は絞首刑、銃殺刑、電気椅子による死刑も残っている。一方、銃殺刑や電気椅子による死刑は「残酷だ」として薬物注射による死刑執行が主流となっている。 ただ、薬物注射による死刑執行も問題点が指摘されている。例えばアラバマ州では、薬物を注入するために必要なカテーテルの挿入が準備段階でうまくいかず、死刑執行が中止されることがあった。また、米製薬大手のファイザーは死刑執行のための薬物販売を中止しており、死刑執行に使う薬物が入手しにくい状況もあるという。 そうした事情からアラバマ州で導入されたのが、専用のマスクを使用した窒素吸入という手法で、2024年1月に初めて実施された。理論上は、酸素のない状態で高純度の窒素を吸入するとたちまちのうちに意識を失うとされる。こうしたことから、窒素吸入による死刑がこれまでの死刑の手段として最も人道的と評価する声もあった。しかし実際には最初の事例で死刑囚が瞬時に意識を失った様子はなく、何分もの間窒素を吸入し続け、もがきながら絶命していったという。 ボイドの場合はどうだったのか。前出の記者が続ける。 「ボイドの死刑が執行されたのは10月23日で、17時57分にボイドが拳を握りしめ、頭を持ち上げて震え始めたそうです。 18時1分に激しくあえぐような呼吸を繰り返し始め、それは15分ほど続きました。18時27分に処刑室のカーテンが閉められ、18時33分に死亡が確認。何時何分から窒素吸入が始まったかは、明らかにされていません。 専門家によると、理論上は窒素吸入ですぐに意識を失うはずですが、実際には窒素吸入に使うマスクにすき間ができたりして、空気が入り込むことがあるそうです。こうなると、最悪の場合、死刑囚は死に至らず、脳に損傷を負うだけで終わってしまう可能性もあるようです」 もがき苦しみながら絶命していったボイドの死刑執行をめぐり、窒素吸入は「現代のリンチ」だとして反対運動が起きてもいる。死刑制度を維持している米国でも、その是非をめぐって議論を呼びそうだ。 ソース ニュースポストセブン 《生きている男性に火をつけ殺害》“人道的な”窒素吸入マスクで死刑執行も「激しく喘ぐような呼吸が15分続き…」、アメリカでは「現代のリンチ」と批判の声【米アラバマ州】…