1 名前:七波羅探題 ★:2025/05/01(木) 08:13:13.79 ID:1IeD8uw99.net Newsweekジャパン 2025年4月30日(水)10時00分 <いまだに残る「家事は女性がするもの」という日本のジェンダー意識が未婚化・少子化にも繋がっている> 日本の未婚化の進行が止まらない。子どもの数が減る一方で、家族を持たない人が増えてくる。情緒を安定させる拠り所がないとも言える人たちだ。フランスの社会学者デュルケムは名著『自殺論』において、「人は社会的な生き物で、何らかの集団に属さずして、自分自身を目的にしては生きられない」と述べている。 血縁に由来する基礎集団としての家族は、成員の情緒を安定させる機能を果たす。これがある人とない人では、幸福度も違ってくると予想される。2017~2022年に各国の研究者が共同で実施した『世界価値観調査』では、「総合的に言って、今のあなたはどれほど幸福か」と尋ねている。日本の25~54歳を未婚者と既婚者に分け、「あまり幸福でない」ないしは「全く幸福でない」の回答割合を計算すると、前者では19.2%、後者では6.6%。配偶者や子がない未婚者のほうが、意識の上での不幸感が高い。 これはどの国でも同じだが、男性と女性で分けてみると日本の特徴が出てくる。<図1>は、日本を含む主要5カ国の結果をグラフにしたものだ。 未婚者と既婚者の違いに注目してほしい。男性の傾向(青色)を見ると、どの国も左上がりで未婚者の方が既婚者より不幸感が高い。線分の長さから、日本はそれが特に顕著なのが分かる(未婚者は37.8%、既婚者は9.2%)。 赤色の女性をみると、日本だけが線の向きが違っている。日本の女性は、未婚者より既婚者の不幸感が高い。微差ではあるものの、他国では見られない日本の特徴だ。 そもそも未婚者には、低学歴・低所得といった不利な属性の人が多いので、自分の状況を不幸と考える人が多いのは当然だ。情緒を安定させる縁(よすが)がない、というのも大きいだろう。 だが日本では男女で傾向が逆で、家庭内における旧態依然の性役割分業の影もちらつく。未婚男性の不幸感の(異常な)高さは、妻の献身(犠牲)の欠如ゆえかもしれない。女性の不幸感が「未婚者<既婚者」であるのは、その裏返しと解釈できる。 家庭を持つこと(結婚)のインパクトが男女で異なるのは、マクロな統計からも推測できる。離婚率と自殺率の長期推移だ。この2つのカーブを描くと、男性では明瞭な共変関係が見られるが女性はそうでない。横軸に離婚率、縦軸に自殺率をとった座標上に、各年のドットを配置すると<図2>のようになる。 過去70年余りのデータだが、離婚と自殺の相関関係が男女で異なることが分かる。男性ではプラスなのに対し、女性ではマイナスだ。 これが因果かどうかはさておき、離婚(婚姻解消)の増加は男性の自殺増に寄与する一方で、女性ではその抑止因となることはデュルケムも指摘していて、「離婚の存在が女性を保護する」と言っている(『自殺論』)。今の日本において、結婚生活が女性にとって重荷になっているであろうことは、夫婦の家事分担の統計からも分かる。 この構造を是正しない限り、未婚化・少子化に歯止めはかかりそうにない。若者への経済支援(手取り増)の効果も、限定的なものとなるだろう。それができないなら、結婚を経ずとも子を産み育てられるような環境を整備するしかない。 <資料> 『第7回・世界価値観調査』(2017~2022年) 厚労省『人口動態統計』 引用元:…