■「多様性」が米国で新たな差別用語に DEIという日本では聞きなれない言葉が、アメリカでは政治と文化闘争の大きな焦点になっている。DEI(Diversity, Equity, Inclusion, and Transformation=多様性・公平性・包括性)とは、女性、ジェンダー・マイノリティ、非白人、障害者などを積極的に雇用しようという施策で、日本の大企業でも採用するところは多い。 ところがアメリカでは今「DEI」という言葉が、新しいNワード(アフリカ系アメリカ人を侮蔑する人種差別的な言葉)と言われている。つまりDEIで守られるべき人々を逆に侮辱する差別用語として、スラング的に使われるようになっているのだ。その対象には、非白人である私たち日本人も含まれている。 「民間航空を管轄する政府機関FAAは、多様性の推進のために重度の知的障害や精神障害を持つ人々を雇用している。そして彼らは航空管制官にもなれる」 (中略) さらにトランプ氏と戦ったカマラ・ハリス候補に対しては、「DEI候補」のレッテルが貼られた。「女性で黒人であるというだけで候補に選ばれたが、実際には能力がない弱い女性」と攻撃され続けたのだ。 女性や人種的マイノリティ、障害者を「DEI」と呼び侮辱する言い方は、明らかな差別用語との批判を受けながらも、トランプ支持者や極右のアメリカ人を中心に、日常のものになりつつある。 関連記事…