213:本当にあった怖い名無し:2009/05/26(火) 13:05:46 ID:fwrmHhxF0みんなまったり行こうぜー。 というわけで、嫁が通ってた小学校であったという話。 そこでは6年生が林間学校と称し、観光地とは程遠いド田舎に行かされる。 その日の日程では、昼間は登山、夜はお約束の肝試しが組まれていた。 小学生が教師に連れられ山を登っていると、 道のわきにある岩に一人の老人が座っている。 体は道の反対を向き、顔だけを道の方に向けて、にこにこと子供達を見つめている。 その笑顔は翁の能面に似ていて、とても優しそうだった。 礼儀正しい生徒がその横を通り抜ける際、 「こんにちは。」と挨拶したが、老人は返事せずただにこにこしてるだけ。 訝しく思ってよく見ると、老人の脚が膝下までしかはっきり見えないことに気づく。 その先はぼやけており、向こう側の景色が透けて見えた。 だが昼間であるし、周りに級友もたくさんいたことから、 気がついた数人の生徒は口をつぐみ、あるいは気のせいだと自分を納得させ、 その時は大きな混乱にならなかったという。 そして夜。 肝試しと言っても小学生の事だから大したものは行わず、 先生に連れられて宿舎周辺の暗い道を散歩する程度のものだった。 それでも都会とは違い、伸ばした手の先も見えないほどの暗闇に、 生徒達は十分怖がっていた。 一通りめぐって宿舎まであと少しという頃、 畑の向こうの方にぼんやりと光っている何かが見える。 「あれなんだろうね?」と皆で首をかしげて見つめていると、 その光がゆっくりとした平行移動で滑るように近づいてくる。 ある程度まで距離が縮んだ時、誰かが叫んだ。 「さっきのお爺さんだ!」 先ほどの老人がぼうっとした光を放ちながら、 透けた脚を動かすことなく、文字通り滑るようにすーっとこちらに来るのだ。 顔には相変わらず笑顔を浮かべたままで。…