424 < ◆lQipvWLods sage 2005/04/18(月) 13:26:50 ID:HAVscm9R0この話は、その発端から判っているので、そこら辺から書くが、前半が本当で後半が噂だと予め言っておく。Aさんの家は、川沿いに広がる雑木林の中に古くからある一軒家で、ブロック塀と林で囲まれている。その脇には、幅2m程度の細い小道があり、曲りくねって100m程続いた後、大通りに繋がっている。この通りは小学校に通学する上で近道だったが、登校は各地域の班ごとに決められた通学路を通らなければならず、登校に使う事は無かった。この小道で恐喝事件があったことで、学校側は使用禁止を生徒に命じていた。しかし、この小道は不気味ではあるが怪談話など無い場所だったし、禁止されていたが下校の際などは構わずに使っていた。だが、部活帰りの俺と友人が近道をしようとして夕方、この小道を通った時に甲高い女の声がしたので、ふとAさん宅を覗いてみると、普段は閉め切った雨戸がほんの少し開いており、その隙間から目玉が二つ、こちらをじっと見つめている。隙間から覗かれるだけでも不気味なのに、恐らく首をかしげた状態なのだろうが、その行動にもびびった。そして妙に甲高い声が、明らかに俺達に向けて掛けられている。『こっちへ来い』と言っているようだった。俺達はその視線と、老女とは思えぬ甲高い声にすっかり怯え、慌てて逃げ帰った。何人かがそれに遭遇し、その話が学校中に伝わると、その路地を使う者は居なくなった。怪談話ではなく実在の人間の事だし、関わりたくなかったと言うのが正解かもしれないが、Aさんの噂はそれ以後も続いた。Aさんは雨戸の隙間からじっと通学中の子供達を見つめており、気に入った子供が見つかると捕まえて孫の遊び相手にする為に殺してしまう・・・と言うものだ。殆ど妖怪扱いされていた訳だが、子供達の間では『Aさんは車が嫌いなので、追いかけられたら車の写真を見せればいい』等と言う話が広まっていった。しかし、そんな噂話が広まった事には原因があった。これを聞いた俺は、本気でAさんを怖がったものだ。…