[ 1 ] まもなく迎える入学・入社のシーズンは、地方から上京する若者がトラブルに巻き込まれやすい。逮捕者や店の摘発が相次ぐホスト業界も同様で、被害者支援団体は、若い女性が狙われる「悪質ホスト問題」の発生を懸念している。立憲民主党の塩村あやか参院議員は3月13日に開かれた参議院予算委員会でこの問題を取り上げるなど、国会での議論をリードしてきた。 ──4月を前に被害者支援団体は「悪質ホスト」への警戒感を高めています。 私がご相談を受けている女性も、就職で親元を離れたタイミングで被害に遭いました。実家を離れて親の目が届かなくなるのは、悪質ホストにとっては好都合です。 単にホストクラブに行かなければ大丈夫とは、なりません。SNSで正体を明かさずに近づき、恋心を抱かせてから、「実はホストで売り上げに協力してほしい」と頼んだり、ホストになった男の子が、店で理不尽な目に遭うこともあります。家を出る娘さんや息子さんに、親御さんからもこうした危険性について話してほしい。 ──私も、マカオへの海外売春に追い込まれた女性を取材しました。先の国会での質問の際に塩村議員が資料として引用しています。 悪質ホスト問題が注目を集めたきっかけは、歌舞伎町で客引きして、売春する女性の多くが売掛を抱えていたことが判明したことでした。しかし、どうもホストは風俗や海外売春へ女性を誘導している。それは、女性がそうした店で働いている限り、彼らにバックマージンが入る仕組みがあるからです。 ホストに促され海外売春に行った複数の女性から、私自身も話を聞いています。彼女たちは一様に海外での売春先で、他の日本人もいたといいます。明らかに組織化された犯罪行為がおこなわれています。 かつて、生活苦のために外国で身を売らざるをえなかった女性を「からゆきさん」と呼びました。今、ある母親は海外売春に出かける娘を「令和のからゆきさん」と悲しげに表現しています。 これは決して、大げさな表現ではありません。私は3月22日の内閣委員会でも、悪質ホスト問題について取り上げました。その際、林芳正官房長官はホストクラブで多額の売掛を背負い、返済のために売春させられる事例について、「人身取引議定書に定める人身取引に該当しうる深刻な犯罪であると認識をしている」と答弁しています。 ──私が取材をした女性も、衣装に「日の丸」マークをつけた20代の女性が自分以外に4人いたと証言しています。 日本のアダルトビデオが人気なうえ、自国の女性がしてくれないことを日本女性はしてくれると外国人に受け止められている。人気となり、実入りがいいことから、悪質ホストの被害女性以外にも出稼ぎに出ているのが実態です。 ある方は「日本は国際売春のリーディングカントリー」と表現していました。非常に闇深いです。(抜粋)…