山梨県身延町が、閉校した中学校の校舎を貸していた新興企業に対し、賃料の請求や校舎の明け渡しを求める訴訟を起こす方針であることが分かった。校舎はこの企業が開発する「空飛ぶバイク」の開発拠点として使われてきた。関係者によると、今年度分の賃料が払われず、会社側と連絡がとれなくなっている。町は、12日に開会する臨時町議会に関連議案を提出する予定。 町は2022年5月から25年4月までの3年契約で、閉校した旧久那土中の校舎を、都内の新興企業に貸している。同社は、校舎と敷地を空飛ぶバイクの開発のために使ってきた。 関係者によると、賃料は年間一括払いで、22年度分の賃料は支払われた。しかし、昨年秋、23年度分の支払いを求める文書を送ったが、そのまま戻され、電話も通じないという。 町が訴訟で請求するのは数百万円で、賃料のほか、賃借契約の解除、実験スペースの使用許可取り消しなども求めるとみられる。 町は取材に対し、「議会前なので詳細を明らかにできない」としている。 空飛ぶバイクは、ドローンと同じ仕組みで、人が乗って飛行できる。同社が21年秋に静岡県内で披露し、未来の乗り物として注目された。同社が、新たな開発拠点を探す中で町内を視察し、旧久那土中を借りることを決めた。 11日に旧久那土中を確認したところ、人の姿は見られず、「関係者以外立入禁止」の貼り紙が随所に貼られ、門は閉められていた。 また、同日、登記されている東京都港区の本店所在地を訪れると、ドアは閉めきられ、ノックしても室内から応答はなかった。 同じビルで働いているという男性によると、昨年の夏頃から出入りする人を見かけなくなったという。この男性は、「取引先だという人たちが訪ねてきて、『急にいなくなって困っている』などと話していた」と語った。…