1: リトナビル(東京都) [UY] 2023/09/09(土) 15:05:56.20 ID:/DRkV/zG0 BE:912915329-2BP(1501) ペット業界最大手のクーアンドリクで顧客トラブルが続発している。元凶は「大量生産」「利益」ありきの凄絶な繁殖現場にあるという。客たちが体験した不条理とは。そして元従業員が告発した、過酷な環境で生まれくる犬猫の運命と、会社の“動物愛護”意識とは。略全国に大規模繁殖場 だが、やはり最大の問題は、不健康な犬猫を販売し続ける営業手法に違いない。 その実態を明かしてくれたのが、クーリクの繁殖部門を運営するグループ企業「大浩商事」の元社員X氏だ。なお「大浩」とは、大久保浩之氏の姓と名からとった社名である。「昔はブリーダーが繁殖した犬猫を、競(せ)りを通して購入していたのですが、それでは業容の拡大に追い付かなくなり、数年前から自前で全国に大規模繁殖場を建設するようになりました」 先述のごとく、店舗は全国で200超……。「月に1店舗平均20頭が売れたとして、全国で4千頭、年間5万頭もの犬猫が必要となります。今では繁殖場として北海道から鹿児島まで11施設が稼働するようになりました。昨年、鹿児島にできた最新施設は千匹以上の繁殖犬・猫を収容できる規模です」 X氏はそのうち一施設で犬の繁殖を担当していたが、上から降りてくるのは、とにかく「生産性を上げろ」という指令だった。「もっぱら業務連絡に使われるグループLINEを通じ、出産率を上げ、死亡率を下げるようプレッシャーがかけられます。達成率がよければ、管理職には特別報酬が支払われました」ゴキブリ、ネズミだらけの繁殖場 初めて繁殖現場を見た時、そのおぞましい光景に絶句したと振り返る。「交配を嫌がるメスもいるのですが、かまれないようタオルを首元に巻いたり、2、3人がかりで押さえつけたりしてオスと交尾させるのです」 繁殖場はゴキブリだらけだった。夜間に明かりをつけると、天井から何十匹とそれが降ってきたそうだ。「ネズミも毎日2、3匹捕獲されるくらい、そこら中を走り回っています。そんな不衛生極まりない環境の中、妊娠した母犬が毎日20~30匹ほど産室でお産を迎えるのです。広さは20~30畳くらいで1頭ごとに空間が仕切られていますが、常時、けたたましい鳴き声が響き、落ち着いて出産できる環境じゃない。母体へのストレスは大きく、産みはしたもののネグレクトしたり、果てはわが子を食べてしまう母犬もいました」死亡率が30%を超える月も X氏の提供による全国の繁殖状況をまとめた内部資料には、目を覆う数字が羅列されている。表の中にある「D犬」という項目。DはDEADの頭文字、つまり「死亡」数だ。21年10月のD犬率は20.2%、11月34.8%、12月30.1%。年平均22.5%とあった。「30%を超える月はどこかの施設でパルボウイルスが発生していたと思われます。死んだ犬は冷凍庫に一度保管され、たまったら火葬場へ運んで処分します」 繁殖犬の中には遺伝子検査で〈キャリア〉や〈アフェクテッド〉と出た犬も交じっていた。前者は遺伝病の発症遺伝子を半分もつ個体、後者は確実にもつ個体を指す。「彼らを異常のない〈クリア〉と呼ぶ生体と交配させれば、異常は滅多に引き継がれないという安易な発想からです」 この点、ブリーディングに詳しい獣医師は「繁殖学を無視している」と指摘。「アフェクテッドの犬を繁殖犬に回すなど絶対にあってはなりません。仮に次の代で疾患が出なかったとしても、隔世遺伝する可能性があるためです。交配したがらない犬に対しては人工受精などの手段を取るべきでしょう」片付けなかった糞を食べてしまうことも なお、店舗のほうの管理体制もめちゃくちゃで、前出の店長いわく、「常に人手が足りていないのでワンオペになることも多く、片付けなかった糞を気付いたら犬が食べていたケースもあった」 現役社員のこんな話も。「今年3月には掛川店(静岡県)、金沢店(石川県)、サンパークあじす店(山口県)、京都店(京都府)でパルボウイルスが立て続けに発生しました」 店頭に並ぶ前に遺伝子異常が見つかることもある。その際はどうするのか。「『譲渡事業』に回されます。客に一度売られたものの、問題が生じて戻ってきた犬猫や、高齢などの理由で繁殖できなくなった引退犬も同様です」(X氏) クーリクのホームページの「里親募集」コーナーに、こんな文言がある。〈ワンちゃん・ネコちゃんとの出会いも私たちの人生を豊かにしてくれる、大切な人生の一部です。そんな素敵な出会いを提供することこそ、弊社の役割だと考えております。その為にCoo&RIKUに出来ることの1つとして譲渡活動を行なっています〉 あたかも保護犬を引き取ってボランティア活動に励んでいるかのようだが、譲渡の実態はX氏の証言のとおり。儲けありきで大量生産した結果として生じた個体を“余り物”よろしく、善意の第三者に押し付けようとしているのだ。「いたたまれなかった」業務 X氏が勤務中に「いたたまれなくて仕方なかった」と振り返る業務がある。「産まれたばかりの、まだ目も開いていない赤ちゃんを母親から引き離し、リボンをつけて写真に撮って、売るためにホームページに載せる作業です。動物愛護管理法では出生後56日を過ぎないと販売できませんが、こうして早いうちから予約を受け付けます。3万円の内金まで取って……。生きるか死ぬかで頑張っている赤ちゃんに、ここまでさせるものかと」 なお、X氏は「われわれも犬猫同様とまでは言いませんが、あまりの扱いを受けていた」と打ち明ける。「会社に健康診断がないんです。給与システムもめちゃくちゃで、ひどい人だと基本給15万円程度。プラス残業代もみなしで月3万円くらいしかつきません」 社員に健康診断を受けさせないのは、歴とした労働衛生安全法違反である。「生体販売を禁止しない限り…」 動物愛護活動で知られる「公益財団法人動物環境・福祉協会Eva」代表の杉本彩氏は、実状を聞いて憤りを隠さない。「動物虐待そのものです。やるせないのは、今の動愛法ではこの凄惨な状況を取り締まれないところ。『パピーミル(子犬工場)』による大量生産を何ら規制していないのです。フランスのように日本も生体販売を禁止しない限り、こうした倫理観にもとるビジネスがなくなることはありません」 クーリクに質した。まず顧客とのトラブル。東久留米店でのパルボウイルス感染の件は「協議進行中」としながら、その他の件は、「すでに解決済みと認識しております」 続いて、遺伝子異常の犬を繁殖に用いていること、繁殖場にゴキブリやネズミが大量発生していること、嫌がる犬を無理やり交配させていることや、店舗での糞尿始末の不備に関しては、「ご指摘の事実はございません」と否定した。 D犬率の推移を記した内部資料は、その存在自体を否定。“大量生産”の件は、「施設を増やし、個別に愛情をもって飼養できる環境整備をしております。施設数を増やしたことを大量生産とする表現は、事実誤認であり誇大表現です」 譲渡の問題についても、「動物取扱業は対面販売、対面説明が求められており、ご指摘のような欺く行為は不可能で、事実誤認です」 コールセンターへの入電数は1日300~400件あるものの、クレームは1%程度だとし、パルボウイルス感染は「根絶に努めておりますが、年間数件の発生がある」と回答した。 犬猫を「繁殖」させ「売り買い」するビジネスの、見過ごされてきた冷酷な一面があらわになりつつある。「週刊新潮」2023年9月7日号 掲載 最近知って衝撃を受けたこと『ハロウィンの時期になると保護施設に黒猫の引き取り手が押寄せる』…