これほど急速に人口が減るのだから、空き家の増え方も勢いを増す。むろん、いま建て続けているマンションも、不人気の物件は空き家率が増すはずで、よほど危機意識をもって対策しないかぎり、避けられないのは全国各地のスラム化である。 住宅だけではない。たとえば、国は高規格幹線道路網1万4,000キロ(高速自動車国道1万1,520キロと一般国道自動車専用道路2,480キロ)の整備を進めている。全国高速道路建設協議会の調べでは、今年7月25日現在、1万2,319キロが完成しているが、逆にいえば1,700キロ近くは今後も建設し続けるということだ。 あるいは新幹線。「整備計画路線」のうち、現在、建設中なのが北海道の新函館北斗~札幌間で、九州・長崎ルートの新鳥栖~武雄温泉間と、北陸の敦賀~新大阪間が未着工となっている。はたして着工すべきなのか。だが、四国や山陰、東九州など「基本計画路線」をかかえる地域は、「地方創生のためには新幹線が必要だ」などと主張し、「基本計画」から「整備計画」へと格上げするように働きかけている。 本当に必要なのか。また、新幹線の建設が「地方創生」につながるのか。 上述したとおり、少子高齢化と人口減少は、予想を超える速度で進んでいる。仮に日本の総人口が十数年後に1億人を割り込み、しかも高齢化率が高くて、社会の担い手の割合が小さくなったとき、高速道路にせよ、新幹線にせよ、リニア中央新幹線にせよ、必要とされるのだろうか。人口減社会を想定せずに整備してきたそれらを、維持できるのだろうか。…