「エキサイティングなことを望むなら電気自動車に乗れ、退屈したいならトヨタに乗れ」。昨年11月、こう書かれたバナーを掲げ、米非営利団体「パブリック・シチズン」がスポンサーする飛行機が「NASCARカップシリーズ」レース会場の「フェニックス・レースウェイ」の上空を通過した。 この低空飛行に先立ち、パブリック・シチズンを含む複数の団体は、電気自動車(EV)事業で後れを取っているトヨタ自動車を批判する公開書簡を同社の豊田章男社長宛てに送った。「バッテリー電気自動車に対する消費者需要の急増に追い付けている自動車メーカーはないが、トヨタはそれを満たそうとの試みすらしていない」と主張。「トヨタが迅速にEVに移行することは可能であり、そうしなければならない。さもなければ衰退のリスクにさらされる」とした。 各団体の動機は環境問題だが、2兆2500億ドル(約300兆円)規模の世界の自動車産業がこの数十年間で最大の転換期にある中で、EVへのシフトで出遅れているトヨタなど日本のメーカーがその主導的地位を失うことへの懸念もメッセージに反映されている。…