商業施設の駐車場や月極駐車場には「無断駐車禁止」の警告文が掲示されています。なかには「罰金1億円」と書かれていることもありますが、法的には支払う必要はあるのでしょうか。 ●罰金◯万円…指定金額の支払い義務はない? コンビニや月極駐車場では、長時間の駐車や無断駐車をしているクルマを見かけることがあります。 そのようなクルマに対して、「無断駐車を発見した場合は罰金として◯万円を申し受けます」というような警告文を貼り、強く注意喚起している様子がうかがえます。 記載されている罰金金額は、1万円ぐらいのところから、高いところでは数億円などの警告もあるなど、さまざまです。 このようなさまざまな金額で設定されている罰金に対して、クルマの使用者は従う必要があるのでしょうか。 結論からいうと、罰金という名目で、支払いに応じる必要はないというのが実情です。 そもそも、違法駐車による罰金が生じるおそれがあるのは公道であり、コンビニや月極駐車場などを含む施設の駐車場などは、私有地にあたるため法律上の罰金は適用されません。 公道での違法駐車に関しては、道路交通法第44条で以下のように定められています。 「車両は道路標識等により停車および駐車が禁止されている道路の部分および次に掲げるその他の道路の部分においては、法令の規定、もしくは警察官の命令により、または危険を防止するため一時停止する場合のほか、停車し、または駐車してはならない」 一方で、私有地における違法駐車を取り締まる法律は、民法709条における「不法行為」として扱われるのが実情です。 つまり私有地である駐車場に無断駐車をした場合であっても、道路交通法上では罰する法律がありません。 そのため、迷惑駐車の事実があり警察に通報したとしても、公道として扱われない以上、明確な犯罪行為がないので取り締まることは難しいことが考えられます。 また無断駐車の車両に対して、勝手にレッカー車を手配して移動したり、チェーンなどでクルマを固定したりすることも認められていません。 レッカー車での無断駐車の移動は公道上のみの措置であり、道路交通法第51条による「道路における危険の防止・そのほか交通の安全と円滑を図るため必要な限度内」は、私有地では認められていません。 くわえて、チェーンやタイヤロックなどは相手のクルマに傷をつける恐れがあり、場合によっては刑法261条「器物破損」が適用されます。 このように自分の駐車場や私有地に見知らぬクルマが無断駐車している場合、自力でそのクルマを対処することは「自力救済」となり、現在の法律では禁止されているのです。…