1:鬼瓦権蔵 ★:2021/10/02(土) 09:39:40.41 ID:fULiJreC9.net 全文 “今や新車の99%がAT車だと言われる日本。逆にMT車に乗っている人が珍しがられることも多くなった。いっぽう欧州ではいまだにMTが根強いようだが、よくよく考えれば日本にも、MTが多数派だった時代があったはずだ。それが、いつのまに「MT嫌い」になってしまったのだろうか? 日本人は間違いなくMTが嫌いである。自販連のデータによると、2019年に販売された新車に占めるAT率は98.6%。これは、データが確認できるすべての国の中で最も高い数字だ。日本に続いてAT率が高い国はアメリカで、2017年のデータで97%となっている。しかしアメリカはAT発祥の地であり、もともとAT帝国だった。そのアメリカより、日本はAT率が高いのだから恐れ入る。 AT率は世界の中でも日米が突出して高く、それに続くのが東南アジアや中東、そしてオーストラリアだ。意外なことに中国ではまだMT車が売れていて、AT率は半数に達していない。これは、中国の民族系メーカーが作る安価なクルマの多くがMTであることが主な原因だ。 自動車発祥の地・欧州でも、AT率はじわじわ上昇中だが、2010年の段階で17%。最近のデータは不明だが、まだ圧倒的にMTのほうがメジャーだ。欧州では、AT車が基本的に高級車に限られるので、お金持ちの多い国ほどAT率が高く、主要国の中ではドイツが約3割でトップ。しかしそれでも7割がMTなのだ! その背景には、「ATはダサイ」という、日本ではカーマニアだけが持つ固定観念が、まだ広く浸透している事実がある。 国産車に初めてATが導入されたのは、1959年のトヨグライドで、1960年代から多くのモデルにATが用意されたが、1977年の段階でもまだ少数派だったのだ。1970年代、多くの日本人はまだAT車に接したことはなく、1980年代から急速に普及したと考えられる。 当初はどこか「ヘタクソ用」というニュアンスも存在したが、1977年、我が家の日産 ローレルに乗った人たちは、揃って「最新技術!」と恐れ入っていたので、そのようにポジティブに捉える人も少なくなかっただろう。では、日本でAT率がどのように推移したかを見てみよう。 ■日本におけるAT比率の推移 1985年/48.8% 1990年/72.5% 1995年/80.8% 2000年/91.2% 2005年/96.6% 2010年/98.3% 2015年/98.4% 2019年/98.6% (日本自動車販売協会連合データより) ■道路環境もMT比率激減の要因 ATは1980年代、半数を超え7割にまで大増殖し、1990年代に9割を超えた。近年は98%台で頭打ち状態だが、もはや極限の数字と言える。20世紀中はまだ、MT派には「MTのほうが速いし、燃費もいい」という拠り所があった。 ところが21世紀に入るとその差がどんどん縮まり、ついには速さでも燃費でもATがMTを上回ってしまった。その時点でMT派の拠り所は趣味性のみになり、一種の変わり者扱いへと転落したのである。 では、日本人が世界一のMT嫌いになったのは、なぜなのか?理由のひとつは、日本人の意識の変化だ。 バブル期までは、クルマは豊かさの象徴だったから、MTには自慢や見栄(≒モテ)の一手段としての価値があったが、現在クルマは白物家電化し、運転はラクなほどいいものになった。一部のクルマ好きにとっても、ATのほうが性能がいいという事実が重くのしかかる。 もうひとつの理由は、日本の道路環境にある。日本は道路整備を後回しにし、戦後モータリゼーションの波が到来すると、どこへ行っても渋滞だらけになった。現在はかなり緩和されたが、人口密度の高さや警察の「止めてナンボ」の発想もあって、一般道はどこへ行っても信号だらけ。MTで楽しく気持ちよく走れる道路は非常に限られる。 いっぽう欧州では、大都市内はさすがに混んでいるが、一歩郊外に出ればそこはドライバーのパラダイス。信じられないほど運転が楽しい。郊外ではラウンドアバウト(信号のない円形交差点)がほとんどなので、停止する機会は非常に少ない。MTの操作は「楽しい軽スポーツ」そのもので、これを拒絶してAT車に乗る者の気が知れない。”…