1:生玉子 ★:2021/09/18(土) 12:41:08.38 ID:hugCSm5/9.net “ホンダを代表する人気モデル、フィットの売れ行きがやや停滞気味だ。 かつてベストセラーだったその期待値の高さゆえかもしれないが、直近の2021年8月販売台数は4122台。先代モデルのフィットをベースに開発されたフリード(同5200台)を下回る結果となっている。 ■フィットが苦戦する背景にライバルとデザイン 1つ目の理由は、現行フィットのデザインだ。フロントマスクは柔和な顔つきで、ボディサイドは水平基調だから側方や後方の視界も良い。機能的には優れた造形だが、従来型に比べると、雰囲気や見栄えの印象が大きく変わった。 内装も水平基調で視界やメーターなどの視認性に配慮したが、ステアリングホイールのスポークは2本だ。従来型に比べて変化が大きく、物足りない印象を受けることもある。 販売が低迷する2つ目の理由は、ライバル車の動向だ。フィットが発売された2020年2月には、トヨタもコンパクトカーの新型ヤリスを投入している。従来型になるヴィッツは2010年に発売されたから、ヤリスは10年ぶりのフルモデルチェンジとなり、売れ行きを伸ばした。 フィットのエンジンは、直列4気筒1.3Lのノーマルタイプと1.5Lのハイブリッドだが、ヤリスは直列3気筒1.5Lと1.5Lハイブリッドに加えて、低価格の1Lも用意した。そのために最も安価なグレードは、フィットでは155万7600円だが、ヤリスは139万5000円から選べる。 つまりヤリスはグレードが豊富で、少ない予算に対応できることもあり、フィットよりも売れ行きを伸ばした。ヤリスの登録台数は、2021年1~8月の月平均が約9500台だから(ヤリスクロスとGRヤリスを除く)、フィットの約2倍に相当する。 さらに2020年の末には、ノートもフルモデルチェンジを行った。このように現行フィットの発売時期は、ライバル車のフルモデルチェンジと重なり、販売面で不利を強いられた。 ■3つ目の苦戦理由はホンダの「身内」にあり? フィットが販売面で苦戦する3つ目の理由は、同じホンダの軽自動車、N-BOXにユーザーを奪われていることだ。ホンダの販売店では「小さなクルマを希望するお客様は、大半がN-BOXを選ぶ。以前ならフィットを買われたお客様も、今はN-BOXを指名される」という。 N-BOXの届け出台数は、2021年1~8月の月平均が約1万7600台に達する。好調に売られるヤリス(ヤリスクロスとGRヤリスを除く)の約9500台と比べても、N-BOXの売れ行きは圧倒的に多い。 そしてフィットは後席や荷室に余裕を持たせた実用指向のコンパクトカーだが、N-BOXも軽自動車でありながら、背の高いボディによって車内はフィットと同等かさらに広い。 価格については、N-BOXは軽自動車だから、高機能でも売れ筋グレードが155万~180万円に収まる。フィット1.3ホームの176万7700円に比べると、価格帯としてはN-BOXが少し安い。そのために今のホンダを代表する売れ筋車種は、フィットではなくN-BOXになった。 軽自動車の比率が過度に高まるとバランスを悪化させるため、N-BOXについては、低金利キャンペーンやディーラーオプションプレゼントを実施していない。販売促進をほぼ完全に控えているが、それでも好調に売れてしまう。 ホンダではさまざまな車種がN-BOXの影響を受けて売れ行きを下げており、その代表がフィットになっている。 以上のようにフィットの販売低迷には、デザインなど車両自体の商品力、ヤリスやノートといったライバル車のフルモデルチェンジ、N-BOXの好調な売れ行き、さらに生産工場の移管など、いろいろな事情が関係している。 しかし車両の機能は優れている。全高が立体駐車場を使いやすい1550mm以下に収まるコンパクトカーでは、フィットは後席が最も広く、居住性はミドルサイズセダンに匹敵する。燃料タンクを前席の下に搭載するため、荷室容量も大きく、シートアレンジは多彩だ。 乗り心地はライバル車のヤリスよりも快適で、エンジンが4気筒だからノイズも小さい。ハイブリッドのe:HEVは、エンジンが発電機を作動させて、駆動はモーターが担当する。 そのために加速が滑らかで、アクセル操作に対する反応の仕方も自然な印象だ。しかもフィットのe:HEVは価格が割安で、1.3Lノーマルエンジンに比べると約35万円の上乗せに抑えたから買い得度も強い。 このようにフィットには、売れない理由が散見される一方で、メリットも多い。コンパクトカーを購入する時は、フィットも試乗すると良いだろう。フィットを知ることで、ヤリス、ノート、アクアなどについても優劣の正しい判断がおこなえる。”…