欧州連合(EU)が2035年にハイブリッド車(HV)を含むガソリン車の新車販売禁止を打ち出したことに、日本の自動車大手が危機感を強めている。各社ともすでに、環境規制が進む欧州で他地域に先駆けて「脱ガソリン車」計画を掲げているが、HVはその中核を占めているためだ。今後は電気自動車(EV)の導入加速など、欧州での電動車戦略の見直しが不可避となる。 トヨタ自動車が5月に公表した最新の電動化目標では、30年に欧州で販売する新車は全て電動車とする。このうちEVと燃料電池車(FCV)の割合は40%。日本の10%や北米の15%に比べ高く、トヨタ幹部は「欧州ではEVで勝負できる」と強調する。 ただ、裏を返せば電動車の半分以上はHV。日産自動車も30年代の早期に全て電動車とするなど、各社とも電動化の加速目標を掲げるが、いずれも「電動車」にHVを含めている。35年時点でHVも含めたガソリンエンジン搭載車ゼロを明確に表明する日本メーカーはなく、自動車大手関係者は「(HVを含めたガソリン車販売禁止が)正式決定されれば、EV戦略の変更は避けられないだろう」と指摘する。 トヨタが世界で初めて量産化した「プリウス」など、HVは長く日本メーカーが世界をリードしてきた技術。一方、独フォルクスワーゲンなど欧州メーカーはEV化に積極的で、今回のEU方針について「欧州勢に有利な仕組みをつくろうとしている」と捉える関係者も少なくない。今後は日本勢もEV化を急ぐ必要があるが、「EV一辺倒の勝負になると、同じ土俵で戦うのは相当難しい」(日本メーカー)とされ、欧州市場では厳しい戦いが強いられそうだ。…