
399. 名無しのリスナー アズマリム @azuma_lim 室戸市PR動画制作業務に係る制作会社等への提訴のご報告と、これまでの経緯について かねてよりご報告等させていただいておりました、高知県室戸市の発注による「令和7年度室戸市PR動画作成業務」に関する事案については、2026年5月、株式会社地元物語及び同社代表取締役・吉川あずさ氏を被告として、東京地方裁判所に損害賠償請求訴訟を提起いたしました。そこで、この点のご報告と合わせ、現時点で私が把握している事実関係及び私の認識を整理の上、ご報告いたします。なお、「地元物語」を名称に含む通販サイトその他の事業者の方々は、本件とは無関係です。本件は、吉川あずさ氏が代表取締役を務める株式会社地元物語に関するものですので、別の事業者の方々と混同されることのないようお願いいたします。また、本件については今後、裁判所の判断を求めていく段階に入ります。そのため、訴訟手続への影響も踏まえ、一定の結論や大きな動きが生じない限り、個別の進捗についての詳細なご報告は差し控えさせていただきます。1. 本件業務の概要本件業務は、高知県室戸市が発注し、株式会社地元物語(以下、「本件制作会社」といいます。)が受託した「令和7年度室戸市PR動画作成業務」です。本件は、公募型プロポーザル方式による行政案件であり、旅・ツーリング系インフルエンサーを起用し、その本人のSNS媒体又は動画チャンネルを活用して室戸市の観光PRを行うことが中核的な内容とされていました。私としては、単なる出演協力ではなく、本件PR動画の制作・配信に相当程度関与する前提で、本件制作会社から企画のご提案を受け、同社の受託が決まった後は、以下のような形で本件業務に取り組みました。・出演・企画構成への協力・室戸市用オリジナル衣装の制作調整・現地撮影対応・撮影素材の確保・編集作業・各種制作作業・自身のYouTubeチャンネル等での配信準備・効果測定に関する対応・レンタルバイク費用等の実費負担以下では、本件の経緯について、時系列で整理しています。2.業務進行の経緯(1)本件制作会社からの初連絡と企画立案2025年12月頃、本件制作会社より、本件プロポーザルへの協力について打診を受けました。本件は、インフルエンサー本人のチャンネル等での発信を前提としたPR動画制作であり、私の発信スタイルやVTuberとしての活動内容を踏まえた企画として進められるものと説明されていました。そのため、私は、YouTubeチャンネルの視聴者層等に関する統計データを提供し、企画提案に必要な準備に協力しました。(2)企画の採択と制作準備の開始2026年1月、本件制作会社より、本件企画が室戸市により採択されたとの連絡を受け、撮影、編集、配信等に向けた具体的な制作準備が始まりました。もっとも、企画採択後に示された制作スケジュールはそもそも非常にタイトであり、現地撮影に向けた準備、衣装や小物の調整、撮影内容の確認、レンタルバイクの手配確認等を、短期間で進める必要がありました。映像制作の現場では、業務内容や契約条件の詳細な整理が、制作準備や撮影開始後となる事例は、フリーランスのクリエイターに限った話ではなく存在します(案件を円滑に進めるため、発注側の説明や信用を前提に先に稼働せざるを得ない場面があるためです。)。本件についても、室戸市の公募型プロポーザルによる行政案件であり、本件制作会社が室戸市から正式に受託した案件であるとの説明を受けていたことから、私は、契約書や条件整理は適切に後追いで行われるものと信頼し、まずは撮影準備や制作対応を進めました。(3)現地撮影と制作体制の問題2026年2月、室戸市において2日間の現地撮影が行われました。しかし、撮影当日は、当初説明されていた制作・撮影体制とは異なる状況でした。私の認識では、特に以下のような問題がありました。・スタッフ不足:プロのカメラマンを含む4名体制の予定が、実際には2名(私を含む)で撮影・撮影代行:私が私物のiPhoneやGoPro等により深夜帯までに及ぶ撮影の相当部分を担当し、かつ、それらが撮影素材となった・費用立替:レンタルバイク未手配などにより、私が現地で費用を立て替えた 等それでも、私としては、現地関係者や室戸市のPRに関わる案件であることも踏まえ、可能な限り撮影を成立させるために対応しました。(なお、撮影には2日間とも室戸市の職員が立ち会っており、私が主要業務を担っていた状況は現場で確認されていました。)(4)契約書提示の要請現地撮影後、業務範囲や負担が当初想定よりも拡大していったこと、また、私のチャンネルでの発信という案件の性質上、本格的な編集作業に入る前に権利関係や責任分担を整理する必要があったことから、私は、株式会社地元物語に対し、契約書又はこれに準じる書面の提示を求めました。これに対し、本件制作会社からは、当初は契約書ではなく発注書で整理するとの説明があり、その後、弁護士が契約書を作成する予定であるとの説明がありました。しかし、それらはすぐに提示されては来ず、契約書が提示される前であったにもかかわらず、編集作業等を進めるよう求められたため、私は、権利関係や責任分担が不明確な状態で作業を続けることに強い懸念を持つようになりました。(5)契約書案の提示と問題点2026年2月25日、株式会社地元物語より契約書案が提示されました。しかし、同契約書案には、それまでの過程で協議し、メール上では合意に至っていた内容でさえ反映されていませんでした。特に、以下の点については、作業を継続し難い重大な認識の齟齬がありました。・権利関係未整理のままでの無償、無期限、撤回不能と読める利用条件・私個人に過大な第三者権利処理責任を負わせる内容・二次利用、再編集、素材提供の範囲・完成動画以外の撮影素材や編集データの取り扱い・私のYouTubeチャンネルで配信する場合の公開範囲、公開方法、修正対応・修正範囲及び制作方針に係る裁量・責任分担VTuberである私の動画制作では、単に映像に出演するだけではなく、衣装、モーション、声、編集データ、配信チャンネル、ファンコミュニティとの関係等が一体となっています。そのため、契約条件、権利処理、修正範囲、納期、利用許諾、室戸市との関係が不明確な状態で制作を進めることは、私にとって重大なリスクがあり、完成動画の利用範囲と、私が保有・管理する素材や権利の利用範囲を明確に分けて整理する必要がありました。そこで私は、代理人弁護士に相談した上で、本件制作会社に対し、契約書案の修正案を提示し、2026年3月2日に、契約条件が確定するまで作業を停止する旨を通知しました。ただ、これは制作を放棄する趣旨ではなく、あくまで後日の権利侵害や責任分担に関する紛争を避けるための対応であり、現にこの時点でも私は、動画全体の構成、カット割、字幕、VTuberとしての出演部分の調整を含む制作作業を相当程度進めていました。(6)制作条件の突然の変更2026年3月3日、本件制作会社より、突然、「指定ロケ地をすべて網羅する必要がある」との条件が示されました。この条件は、室戸市の仕様書、株式会社地元物語から提示された契約書案、従前の制作指示のいずれにも明示されていませんでした。むしろ、撮影現場では、どの施設の映像を使用するかは編集判断に任せる旨の説明がされていたと理解しています。また、そもそも撮影当日の体制不備や予定変更により、すべてのロケ地を十分に撮影できていたわけではありませんでした。そのため、この段階で「指定ロケ地をすべて網羅する」と言われても、編集構成、カット割、VTuberとしての出演部分の調整、字幕、音源、尺調整等を大きくやり直す必要があり、追加作業が発生する状況でした。(7)室戸市との契約内容確認及び協議要請ここまでの過程で、本件制作会社からは、繰り返し室戸市の意向や仕様を理由とする説明がなされていました。そのため、当方代理人弁護士は、同社に対し、室戸市との契約書の共有を求めるとともに、これが困難である場合には、室戸市を交えた協議の実施を求めました。これに対し、株式会社地元物語側の代理人からは、室戸市との契約内容については開示できない旨の説明がある一方、室戸市を交えた協議については実施するとの回答がありました。しかし、予定されていた日の当日、室戸市の担当者が参加できなくなったとの理由により、当該協議は実施されませんでした。私としては、室戸市の意向や仕様を理由とする説明が繰り返される一方で、その根拠となる契約内容や仕様解釈について十分な共有や協議の機会が得られない状態では、適切に制作を進めることは困難であると考えました。(8)一方的な終了通知2026年3月12日、先方代理人より、私に対し、「(アズマリム様との)委託契約は締結せず、この案件は終了とさせていただきます。この点は、室戸市も交えて協議を行った結果です。」との通知がありました(なお、ここで「終了」とされたのは、あくまで私との間の委託契約関係及び私が本件制作に関与することについてであり、室戸市のPR動画制作業務自体が終了したという意味ではありませんでした。本件制作会社は、その後、室戸市との間で、当初仕様書の内容とは本質的に異なる内容である、当初予定されていたインフルエンサー本人の出演及び本人チャンネルでの発信を含まないという形で、本件PR動画制作業務を進め、室戸市に対して動画を納品しています。)。また、同通知においては、実費のほか、「ここまでの作業に関する対価」として一定額を支払う旨の提示がありましたが、それは、既に相当程度進行していた本件業務について適正に精算するものではなく、業務内容や制作実態に照らしても極めて限定的な提案でした(具体的には、当初協議されていた業務全体の対価水準と比較しても約1割程度にとどまるものであり、当該提示は、その対価水準から大きく乖離するものでした。)。そもそも本件では、私が出演、撮影対応、編集、配信準備等を含む実働部分の大半を担うことを前提に、業務全体の対価について協議が進められ、その過程では、(権利処理に関する部分を除き)業務内容に応じた対価についても一定の合意に至っていました。にもかかわらず、上記提示については、どの作業をどのように評価し、どの範囲の対価として算定したのかといった法的根拠や算定根拠について、十分な説明はありませんでしたし、その後のやり取りにおいても、本件の制作実態や当初協議されていた対価水準を踏まえた十分な支払意思は示されませんでした。私としては、制作に至る経緯や、当初の予定を大幅に超える具体的な稼働等の制作の実態を踏まえていない精算案では到底受け入れられませんでした。この点、本件について、最終的に契約書が締結されていないことは、私が本件業務を実施したことや、実際に行った制作・撮影対応等の対価や実費が発生していたことが翻って存在していなかったことを意味するものではありません。むしろ、フリーランスである私に対して業務を委託する以上、本来、本件制作会社側において、業務内容、対価、支払時期、権利関係、成果物の範囲等の取引条件を適切に明示し、整理すべき立場にあったと考えています(そのような整理が十分になされないまま制作準備や撮影対応が進められたこと自体、フリーランスとの取引を適正化するための法制度の趣旨にも反するものだと考えています。)。本件では、私は、室戸市の公募型プロポーザルによる行政案件について、本件制作会社から企画協力や制作準備を求められ、実際に現地撮影、撮影素材の確保、編集準備、配信準備、レンタルバイク費用等の実費負担を含む具体的な稼働を行っていました。そのような経緯がある以上、制作終盤に至って「委託契約は締結しない」と一方的に通知されたとしても、それまでに行った稼働、制作上の成果、実費負担等について適正な対価及び実費の精算を求める必要があるものと判断しました。3.室戸市への照会及び公文書開示請求上記のとおり、本件は、室戸市の公募型プロポーザルによる行政事業であり、かつ、本件制作会社側からも「室戸市と協議した結果」であるとの説明がなされていました。そのため、当方代理人弁護士より、室戸市に対し、事実関係、仕様書との整合性、インフルエンサー起用を前提とした当初構成からの変更経緯、納品物、変更契約の有無等について確認を求めました。また、併せて、私本人が代理人弁護士に委任した上で、公文書開示請求も行いました(この公文書開示請求にあたっては、単に抽象的に資料の開示を求めたものではなく、室戸市情報公開条例上の請求権者該当性について、行政実務を踏まえた詳細な説明資料を添付するとともに、開示を求める対象文書についても、仕様書、契約関係資料、協議記録、納品物、変更契約の有無、支払手続に関する資料等を、可能な限り具体的に特定した別紙を添付していました。)。この点、当方代理人弁護士からの個別の問い合わせにおいては一定の事実関係を確認することができましたが、他方で、当該公文書開示請求については、室戸市情報公開条例上の請求権者該当性を満たさないとの理由で、不受理となりました。そのため、現時点でも、室戸市と本件制作会社との間でどのような協議が行われ、どのような内容で納品・変更契約・支払手続が進められたのかについては、私が確認できている情報に限界があります。この点、例えば、本件制作会社が仕様変更後に室戸市へ納品したとされる動画についても、私が撮影・手配・使用に関与した素材が含まれている可能性があり(具体的には、私がレンタルの上、現地撮影で使用した青いバイクと特徴が同じバイクが納品物の映像の中に映り込んでいるとの説明を受けています。)、私が関与した素材又は撮影成果が納品物に含まれている可能性が否定できない事情がありますが、当該納品物の具体的な内容や、私が関与した素材がどの範囲で利用されているのかについては、現時点で十分に確認できていません。また、私が確認する限り、当該PR動画は、納品後も一般に公開されていない状況です。本件は、公募型プロポーザル方式により、単なる価格ではなく、企画内容や実施体制を含めて選定された行政PR事業でした。募集要項においては、インフルエンサーの影響力や発信力を前提とした要件が設けられ、審査基準においても「起用するインフルエンサーはターゲットに対して訴求力のある人物となっているか」が評価項目とされており、インフルエンサー本人の起用及び本人チャンネルでの発信は、当初の仕様書及び企画内容における中核的な要素でした。それにもかかわらず、納期直前の段階で、当該中核部分を含まない内容へと変更された上で、室戸市への納品及び支払手続が進められたことについては、それがどのような法的根拠や手続に基づいて整理されたのか、また、当初の仕様書と大きく異なる内容での納品を受け入れるにあたり、本件制作会社側の責任や変更理由についてどのような確認・整理がなされたのかの説明がいずれもなされておらず、この点が明らかにされていないことには強い疑問を持っているところです。4.提訴について以上の経緯を踏まえ、私は、2026年5月、株式会社地元物語及び同社代表取締役・吉川あずさ氏を被告として、東京地方裁判所に損害賠償請求訴訟を提起しました。私としては、本件は、既に撮影・制作業務が終盤まで進行していたにもかかわらず、契約条件や権利関係が整理されないまま一方的に切り離され、適正な対価や実費の支払いがなされていない事案であると考えています。(この点、一方的な終了通知後も、本件制作会社側からは、本件の制作実態や当初協議されていた対価水準を踏まえた十分な支払意思は示されておらず、むしろ、同社代理人を通じて、具体的な譲歩策も法的根拠も示されないまま、単に本件に関する公表内容を削除することだけを求める連絡がなされているという状況です。)また、本件は、映像制作やPR制作の現場において、フリーランスのクリエイターが、発注者側との情報格差や交渉力の差がある中で、契約書や支払条件が曖昧なまま稼働を求められ、後になって一方的に切り離されるという問題を含むものだと考えています。同じような立場のフリーランスが同様の被害を受けることを防ぐためにも、本件については提訴の事実を公表することにしました。5.今後について本件については、今後、裁判所において、事実関係及び法的責任について判断を求めていくことになります。私としては、室戸市の魅力を発信するPR事業として、現地での撮影や関係者との調整を含め、誠実に制作を進めてきました。しかし、クリエイターとしての労働成果、制作物、権利、時間、信用、実費負担が適切に扱われないことは、看過できるものではありません。今後の対応については、代理人弁護士である小野田峻弁護士に一任しており、引き続き必要な対応を適切に行ってまいります。なお、本件に関する取材・お問い合わせにつきましては、代理人弁護士までご連絡いただきますようお願いいたします。【参考資料】本件プロポーザルに関する室戸市の公表資料は、現在、室戸市ホームページ上からは削除されており、確認できない状態となっているため、国立国会図書館インターネット資料収集保存事業(WARP)に保存されているアーカイブページを掲載します。 追記(2026年8月20日)2026年7月31日、室戸市のYouTubeチャンネルにおいて、私が本件業務に関与した際の素材を使用した動画が公開されていることを確認しました。当該動画について、公開を確認した先週金曜日の時点ですぐに、弁護士から室戸市へ連絡を入れましたが、その際には担当者が不在と聞かされ、(公開やコメント欄非公開直後でありながら)公開やコメント欄の非公開を誰が行ったかも確認できないとの不合理な回答でした。その後、週明けに弁護士を通じて改めて公開停止を要請した結果、室戸市から、動画を取り下げたとの連絡がありました。ただ、室戸市が、アズマリムは本件業務の関係者として認めない前提で契約変更・納品受理をしていたはずであったにもかかわらず、実際には私が関与した素材を市のPR動画として公開したという矛盾や、その経緯が孕む諸問題は、動画を取り下げても消えません。事前に何度も連絡していたにもかかわらず、このような公開に至った経緯も含め、引き続き対応を進めます。なお、コメント欄については、批判的なコメントが多数寄せられたため非公開にしたとの説明を受けています。午後8:57 · 2026年8月20日 2026/08/20(木) 22:02:32.04 ID:goErsKwN…