
1: 征夷大将軍 ★ gJpAiB979 2026-08-02 11:28:06 Yahoo!オリジナル記事/敦賀気比高校野球部・東哲平監督 2026年8月2日 10:50 7イニング制で失われる高校野球100年の歴史 高校野球の7イニング制が議論されている。日本高野連は2025年1月に「7イニング制等高校野球の諸課題検討会議」を立ち上げ、同年12月には検討結果を理事会に報告した。選手の健康管理や暑さ対策、投手の負担軽減。そういった課題があることは、私も十分に理解している。ただ、その解決策として7イニング制を導入することには、私は大反対である。 7イニング制になれば、高校野球はまったく別の競技に近いものになる。これまで積み上げられてきた記録も、試合の流れも、戦い方も大きく変わる。9イニングだからこそ生まれてきたドラマがある。7イニングになれば、攻撃の仕掛け方やピッチャーの使い方、代打や代走の出し所、守備固めのタイミングまで変わってしまう。 高校野球には、100年以上もの歴史がある。その歴史の中で、数え切れないほどの名勝負が生まれてきた。記録も、記憶も、9イニング制の中で積み上げられてきたものだ。7イニング制に変えるということは、その流れを一度断ち切ることに近い。言い換えれば、新しい高校野球を一から始めるようなものである。そこまで大きな変更を、本当にしていいのか。私はどうしても納得ができない。 「現場の声が十分に届いているのか?」という疑問もある。高野連からアンケートは届き、私も反対意見を返信した。私の知っている監督たちにも、7イニング制に賛成している人はほとんどいない。全国的に見ても、反対している監督はきっと多いはずだ。それなのに、議論が「7イニング制導入ありき」で進んでいるように見えてしまう。現場が何を考え、何に危機感を持っているのか。そこをもっと正面から取り上げてほしい。 大阪桐蔭の西谷浩一監督も、7イニング制への反対意見を明確に示している。西谷監督のような全国的な実績を持つ指導者が声を上げることには、大きな意味がある。ただ、本来であれば、もっと多くの監督の意見が表に出ていいと思う。ひとり、ふたりが声を上げているだけだと、高野連に逆らっているように見えてしまうかもしれない。しかし、全国の監督たちが同じ危機感を持っているなら、その声はもっと広く知られるべきであろう。 私は、暑さ対策が必要ないと言っているのではない。いまの夏の暑さは、明らかに以前とは違う。選手の命と健康を守ることは最優先だ。足を攣る選手もいる。熱中症の危険性もある。大会運営を見直さなければならない部分は当然ある。ただ、7イニングにすれば根本的に解決するのかといえば、私はそうは思わない。7イニングでも足を攣る選手は出るだろうし、熱中症になる可能性も残る。そこで、今度は「7イニングでも厳しいから5イニングにしよう」となれば、高校野球の姿はさらに変わってしまう。 本当に暑さ対策を第一に考えるなら、イニングを減らす前に考えるべきことがたくさんある。大会期間や試合時間の設定、休養日の取り方、ナイターの活用、会場の分散、ドーム球場の使用……。甲子園球場が特別な場所であることは、私もよくわかっている。選手たちにとっても、甲子園が憧れの舞台であることは間違いない。それでも、7イニング制にして高校野球そのものを変えるくらいなら、暑さを避けるために甲子園以外の会場やドーム球場を使うほうが、まだ納得感がある。 9回を戦う中で、ゲームは形成される。序盤に先制されても、中盤で立て直し、終盤に勝負をかけることができる。ピッチャーが苦しくなったとき、ベンチがどう動くか。バッターが3打席、4打席と立つ中で、相手ピッチャーにどう対応していくか。守っている側が最後のアウトを取るまで、どれだけ集中力を保てるか。そういった対応が、高校野球の勝負を作ってきた。7イニング制になれば、その勝負の組み立ては大きく変わる。 もし本当に7イニング制になったとして、敦賀気比がどう戦うのか。正直に言えば、いまはまだまったく想像できない。ピッチャーの起用も、攻撃の仕掛け方も、終盤の考え方も変えざるを得ないだろう。でも、そんな想像をいまはしたくない。 時代に合わせて変えるべきものはある。選手の安全を守るために、改善しなければならないこともある。ただ、変えてはいけないものまで変えてしまえば、高校野球は高校野球でなくなってしまう。9回を戦い切る中で生まれてきた歴史や記録、勝負の重み… …。それを簡単に手放していいとは、私は思わない。繰り返すが、私は7イニング制には大反対である。高校野球の歴史を築き上げてきた先人たちは、この議論をどう見ているのだろうか。 ※以下出典先で…