
1: 七波羅探題 ★ SfSDV3eS9 2026-07-23 07:32:03 <東北地方6県から県外に流出した若年女性の多くが「家事・育児・介護は女性の仕事」などのジェンダー慣行を経験している> 地方では若い女性の流出をいかに食い止めるかが課題となってなっている 今月16日から17日にかけて全国知事会が鳥取で開催され、人口減少対策などを盛り込んだ「鳥取宣言」が採択された。地方の県では人口減少対策が急務となっており、とりわけ若い女性の流出をいかに食い止めるかが課題になっている。若年女性の減少は、出生数の減少に直結するからだ。 若い女性が減る原因としては、進学や就職時の流出のほか、出て行った女性がUターンしてこない、ないしは他地域出身の女性が移り住んでこない、ということが考えられる。トータルで見てこれらがどれほど効いているかを可視化するには、同世代の女性人口を追跡するやり方が良い。 筆者の郷里の鹿児島を例にすると、2010年の10〜14歳の女性は4万983人。この世代は15年後の2025年に25〜29歳になるが、この年の当該年齢女性は3万660人。青年期にかけて、同世代の女性人口が4分の3に目減りしている。 <表1> 2010年の10〜14歳の女性人口を100とした場合、2025年の25〜29歳女性人口はどういう数値になるかを都道府県別に計算し、高い順に並べると<表1>のようになる。赤色は、青年期にかけて女性人口が増えている都府県だ。進学や就職で地方から人口がなだれ込んでくることによる。東京は、10代前半から20代後半にかけて2倍以上に膨れ上がる。 その代わり、地方では女性人口が減る。青色は15年間で3割以上減る県で、秋田では2万3615人から1万4043人へと4割も減少する。自分の出身県の女性が青年期にかけて4割も減るというのは、なかなかショッキングな現実だ。 女性が出ていく、Uターンしてこない、ないしは他地域から流入してこない理由として、進学や就職の受け皿がない、娯楽の機会が乏しい、というようなことがあるが、最近では地域のジェンダー慣行が注目されるようになっている。旧態依然のジェンダー慣行が強い地域からは女性は出ていくのではないか、ということだ。 <表1>によると、青年期の女性の減少率は東北地方で大きいようだ。中学校卒業時に東北6県に住んでいた18〜39歳女性を取り出し、2024年12月時点で同県に住み続けている人を残留組、違う県に住んでいる人を流出組とする。<表2>は、出身地域でのジェンダー慣行の経験率が2つのグループでどう違うかを比較したものだ。 <表2> 8つの事項について「よくあった」「時々あった」と答えた女性のパーセンテージだが、いずれも残留組より流出組で高くなっている。「家事・育児・介護は女性の仕事」の項目では、残留組は27.0%なのに対し流出組は45.7%と20ポイント近い差がついている。 若年女性の減少率が大きい東北出身女性のデータだが、残留組より流出組のほうが、旧態依然のジェンダー慣行を多く経験している。こういうことに嫌気が差し、出身地域を離れている可能性もあるだろう。都会の大学で学んだ地方出身女子が、子ども期に経験したことが不当な性差別であることに気付き、地元へのUターンをためらっているのかもしれない。あるジェンダー問題の研究者が「都会の大学でジェンダー論を学んだ学生は、田舎に帰るのを嫌がるようになる」と言っていたのを思い出す。 冒頭で触れた「鳥取宣言」では、「固定的な性別役割分担意識や無意識な思い込み(アンコンシャス・バイアス)の解消のための取組など、ジェンダー平等の実現に向けた施策」を強力に推進することを明記している。各県のトップも、旧態依然のジェンダー慣行が地域の維持・存続を脅かすことに気付いているようだ。ためらうことなく、改革に着手するべきだ。 <資料> 総務省「住民基本台帳人口」 内閣府「地域における女性活躍・男女共同参画に関する調査」(2024年)の個票 舞田敏彦(教育社会学者) ニューズウィーク日本版 2026年07月22日(水)11時40分…