1966年10月21日午前9時15分、イギリス南ウェールズの小学校が、約10万トンの黒い土砂に埋まった。 死者144人。うち116人が子どもだった。 休暇前最後の登校日だった。パントグラス小学校では出席確認が始まったばかりで、校内だけで児童109人と教師5人が死亡した。生存者が最後に救出されたのは午前11時ごろ。それ以降、捜索は遺体の収容へ変わった。英国地質調査所 事故は予測できなかったのか。 そうではない。崩れた山の下に泉があることは知られていた。過去にも土砂は動き、住民から苦情も出ていた。それでも廃棄は続けられ、事故後も刑事責任を問われた者はいなかった。 アバーファンで起きたのは、突然の土砂災害だけではない。危険を示す情報が各所にありながら、それを集めて廃棄を止める仕組みがなかった組織事故だった。事故前後のアバーファン堆積場。出典:1967年アバーファン事故調査資料/Wikimedia Commons(Public Domain)…